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東電への損害賠償請求

損害賠償

福島原発事故の影響によって、これまでの生活が送れなくなった皆様は、
東京電力に対してその損害を賠償することを請求することができます。

  • ・避難場所への交通費
  • ・一時帰省のための費用
  • ・治療費、検査費用

などの費用は損害として認められる可能性があります。

請求の方法

東電に対して上記のような損害賠償を請求するためには、現時点では、
(A)東電からの請求書を利用する方法
(B)原子力損害賠償紛争解決センター(原発ADR)を利用する方法
(C)裁判所に対して訴訟提起をする方法
という3つの方法があります。これらの方法について説明いたします。

 

 

概要

コスト

東電からの請求書を利用する方法

避難者の皆様宛てに東京電力から請求書が送付されていますので、それに記入をして支払を求める方法です。

東電自身が実施している手続ですので、支払は確実ですが、支払額については東電が自ら認めている限度にとどまりますので、他の方法と比較して低額にとどまる可能性があります。

ご自身で記入すれば負担なし

原発ADRを利用する方法

ADRでは、法律や放射線防護などの専門家9人が、避難者と東電との間の交渉の仲介を行います。
第三者である仲介者がはいって斡旋しますので、東電請求書による賠償額よりも高額の賠償金が認められる可能性があります。実際に、いくつかの和解例があります。
ただ、あくまで東電が支払を認める必要があります。

ご自身で手続すれば必要ありません。
弁護団に委任する場合ですと、後述のようにある程度の費用が必要となります。

訴訟を提起する方法

裁判所に、損害額の認定を求める方法です。
東電が損害と認めない金額であっても、裁判所が納得すれば損害額となります。
しかし、金銭的・時間的にはコストが大きくなることが予測されます。

訴訟について裁判所への印紙代・弁護士費用が必要となります。

ADRのすすめ

3つの方法を比較してみました。

 

  1. 東電への直接請求
    最も早期にお金を受領できる
    東電が決めた金額になる
      (慰謝料月10〜12万、生活費増加分なし、不動産など先送り)

    いったん請求した部分(時期・項目)は、追加請求できない可能性
  2. ADR申立て
    慰謝料は個別事情に応じて増額
    生活費増加分や財産価値減額分も請求できる
    内払いとしての支払いを認める
    仮払金との精算もなし
    弁護士費用3%も認められる。
    センターは東京と福島県郡山市の2カ所のみ
  3. 裁判
    金額的には最も高額になる可能性
    時期など詳細は未知数

ADRの現状

  1. 第1号事件の和解成立
    平成24年2月27日に、原発ADRの第1号事件の和解が成立しました。
    その内容は以下のようなものでした。
・建物や自動車等の財物の財産価値減少分の賠償を認めた
・建物:再取得価格(建築費用)から減価償却費を控除し、
 5%が現存価値として、95%の賠償を内払いとして認めた
 家財:申立人の請求額500万円を相当とし、95%の450万円の内払いを認めた
・中間指針で示された慰謝料額に、個別具体的な事情を考慮して加算を認めた
・食料品を除く家具等生活用品購入費用、電話料金の増額分を損害として認めた
・転居に際して車両の提供を受けた者への謝礼を実質的引越費用として認めた
・ペットの死亡慰謝料として、5万円×2人=10万円を認めた
・清算条項を入れず、内払いを認めた
・既に支払われている仮払金の清算は、後日でよいとした
・弁護士費用(和解額の3%)を認めた

これを機に全国で、ADRの申立が増えていくのではないかと思われます。

 

第2号事件以降はこちら

 

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