2021年5月27日
兵庫県弁護士会広報委員会
新型コロナウイルス禍が長引き、アルバイトができずに家賃や学費の支払いに悩む学生が多いようです。今回は、大学生の弟がいるという男性からの相談です。支援制度について詳しい弁護士がアドバイスします。
地方で1人暮らしをしている大学3年の弟から「コロナでバイトが減って生活できへん。家賃も学費も払えない。お金貸して」とLINE(ライン)がありました。僕も就職したばかりで、貸せるお金がないんですよ。
弟さん、働きながら生活費、学費を稼いでいるんですね。ご両親は?
母がいますが、パートで生活しています。貯金もないし、母には頼れません。
弟さんが学校をやめずに生活できる方法を考えましょう。
そんな方法があるんですか?借金は奨学金だけでも大変だし、返すあてもないし。
学生を対象にした支援制度もあります。オンライン授業が多くて学校に行く機会も少ないから、横のネットワークでの情報が手に入りにくいみたいですね。孤立して、考えあぐねている学生さんも少なくないでしょう。では説明していきましょう。
まず学費はどうなりますか?
国の「高等教育の修学支援新制度」を使えば、授業料や入学金の減免、給付型奨学金支給を受けられます。また、各大学が独自に授業料の減免、納付猶予、延納、分納などを行っている場合もあります。
生活費もどうにかなりませんか?
光熱水費、携帯電話代は支払いの猶予ができる場合があります。奨学金は日本学生支援機構だけでなく、大学によっては独自の制度も。民間企業の奨学金を活用する手もありますよ。
貸与型の奨学金は卒業後の返済が大変です。
確かにそうですね。昨年度は国が一時金として「学びの継続」のための「学生支援緊急給付金」を支給しました。今後も募集するといいのですが。
弟は家賃も滞納しそうと言っているのですが。
国の制度「住居確保給付金」では3カ月間(延長は原則2回まで)の家賃補助が受け取れます。 他にもさまざまな支援制度がありますが、いずれも所得や求職活動、成績などの受給要件をクリアしているか自分で確認し、期間内に書類を整えて申請しないといけません。
弟は知っているかな。
制度や法律については、ネットや新聞で調べたり、大学担当課や無料法律相談、役所などに確認してくださいね。県弁護士会では夜間無料電話相談もしています。学生さんの場合、相談や手続きに不慣れとは思うけれど、まずは第一歩、勇気をもって相談を。兵庫県弁護士会(078-341-7061)までお問い合わせください。