神戸新聞2025年4月2日掲載
執筆者:清水 雷王 弁護士
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信号待ちで停車していたところ、後続車に追突されました。むち打ちで通院していましたが、 3カ月ほどして加害者の任意保険会社から治療費の支払いを打ち切ると言われました。どうすればいいでしょうか。
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自動車の所有者が加入を義務付けられている自賠責保険では補償できない範囲の損害を補償するために任意で加入する保険のことを任意保険といいます。交通事故の場合、加害者が加入する任意保険の会社が被害者への対応を行うことがあります。
交通事故の治療費についても、病院などから直接加害者の任意保険会社に請求してもらい、任意保険会社がこれを支払うという方法が一般的です。これを「一括対応」と呼びます。ご相談の方もこの方法で治療費などの支払いがなされています。
さて、今回の事例のように、被害者が通院中でも、けがが治癒または症状固定になっていることを理由に一括対応を打ち切ってくることがあります。
症状固定とは、これ以上治療をしても症状がよくならない状態になったことを指します。症状が一進一退の場合も含まれます。加害者が支払うべき治療費は、法的には治癒または症状固定の時までの治療費とするのが基本となりますので、保険会社はそれを理由に治療費の打ち切りを連絡してきます。
しかし、保険会社の見解が正しいとは限りません。
そもそも、治療方針は主治医が専門的に判断することです。ただ、治癒または症状固定かどうかは法的な概念ということもあり、最終的には、裁判所が主治医の判断を踏まえつつ、その合理性を複数の観点から判断し、結論を出すことになります。
保険会社から治療費の支払いを打ち切ると言われた場合は、症状や治療経過などを説明して一括対応の継続を求めつつ、それでも打ち切ると言われるときは、ひとまず治療費を自己負担して通院することになるでしょう。健康保険で通院できる場合がありますので病院で確認してみてください。
自己負担した治療費については、後日、保険会社と交渉して支払いを求めることになりますが、交渉がまとまらない場合は、裁判を起こし、裁判所に症状固定の時期などを判断してもらうことになります。