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遺言書は 作成すべきか-生前に整理、トラブル防止

 神戸新聞2025年3月19日掲載
執筆者:兵庫県弁護士会広報委員会

遺言書を作るかどうか、迷っています。 自作のエンディングノートには、自分の財産のことや、遺産を寄付したい人などを書いていますが、遺言書を作成した方がいいのでしょうか。

遺言書とは、自分の死後に遺産を誰にどのように託すかという意思を書いた書面です。なければ遺産は法定相続人(民法で決められた相続人)が相続しますが、作成しておけば自分の遺産を自由に分配できます。

民法で規定されている遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言があります。有効と認められるには「公正証書遺言」がお勧めですが、ご相談の趣旨から、今回は自筆証書遺言について説明します。

自筆証書遺言とは、ご自身で作成する遺言書のことです。法的に有効と認められるためには、民法で定められたルールを守らなければなりません。形式的なルールは、全文が手書き(自書)で、署名、押印、日付の記載があることです(民法960、968条)。このルールを守れば、エンディングノートにつづっても、形式的には有効です。 なお、財産目録などはパソコン作成も可能です。

遺言書を作成するメリットは、自分で自由に遺産の分配方法を決定できるほか、生前に財産状況を確認整理できることです。死後に相続トラブルを予防できることなども挙げられます。遺言書がないと、相続人の間で話し合いがまとまらないことも多く、遺産の種類や金額にかかわらず遺言書は作成した方が良いといえます。

遺言書は、15歳以上の人なら作成できます。何度でも作り直すことができ、最も新しい遺言書に効力があります。

注意点としては、遺言書の記載通りに手続きをする「遺言執行者」の選定や、一定の相続人に「遺留分」という権利があることへの配慮、死後に裁判所で「検認」の手続きが必要なことなどです(検認しなくてよい法務局の「保管制度」もあります)。

遺言書は、旅立つ前の「最後のメッセージ」です。せっかく書いた遺言書が無効とならず、自分の意思の通りに遺産を分配するためには、形式のほか、記載内容にも法的な知識が必要です。お気軽に弁護士にご相談ください。

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