神戸新聞2025年2月5日掲載
執筆者:優生保護法被害兵庫弁護団
-
最近、障害や特定の病気を理由に不妊手術(子どもができなくなる手術)や人工妊娠中絶を受けさせられた人に、補償金や一時金を支払う国の制度ができたと聞きました。具体的にはどのような制度でしょうか?
-
1948年~96年、優生保護法という法律がありました。この法律の下、障害や特定の病気を理由に、大勢が不妊手術や人工妊娠中絶を受けさせられました。
2024年7月、最高裁は被害者が損害賠償を求めて起こした裁判に対して、この法律が憲法に明らかに反していたと判断し、国の責任を認めて被害者に対する賠償を命じる判決を言い渡しました。これを受けて、国は不妊手術や人工妊娠中絶の被害者たちに対する補償金などを支給する法律(補償法)を作り、2025年1月17日に施行されました。
まず、「補償金」として、不妊手術を受けさせられた本人には1500万円、配偶者(事実婚を含む)には500万円が支払われます。対象となる人が既に死亡している場合には、その遺族に支給されます。
また、補償金とは別に、不妊手術を受けさせられた本人に320万円、人工妊娠中絶を受けさせられた本人に200万円の一時金が支給されます。これらは、本人が生きている場合にのみ支給されます。
補償金や一時金は、国が法律や施策の過ちを認めて謝罪し、不当で過酷な被害を受けた被害者の人権回復を目的に支給を決めたものです。本人が手術に同意していたり、親や家族が手術を受けさせていたりした場合も、補償の対象になります。
一人でも多くの被害者が補償を受けられるように、各都道府県は、専用窓口を設けています(兵庫県「旧優生保護法専用相談窓口」電話:078-362-3439 ファクス:078-362-3913)。
請求手続きを弁護士が無料でサポートする制度も始まりました。兵庫県弁護士会では、高齢者や障害のある人の電話相談を無料で受け付けています(電話:078-362-0074=毎週火・木の午後1時~4時、ファクス:078-362-0084)。本人だけでなく福祉関係などの方でも、こちらに連絡いただければ、旧優生保護法に関する請求手続きを無料でサポートする制度をご案内します。