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自転車の事故多発 今月(2024年11月)から改正道交法-「スマホ」「酒気帯び」厳罰

 神戸新聞2024年11月6日掲載
執筆者:兵庫県弁護士会広報委員会

最近、改正道路交通法(道交法)が施行され、スマートフォンを使いながら自転車を運転する危険な行為に対して罰則が強化されたと聞きました。 施行後の違反行為の対象や、違反した場合の罰則を教えてください。

交通事故の件数は減少する一方で、全事故に占める自転車が関わる割合は増加しています。自転車が歩行者と衝突し、死亡や重傷につながる重大事故も発生している状況などから、2024年5月に改正道交法が成立し、同年11月1日に一部が施行されました。

改正前の道交法でも自転車は、信号無視、酒酔い運転、一時停止違反などが禁止されていましたが、改正道交法で「ながらスマホ」が禁じられ、「酒気帯び運転」についても罰則付きの違反になりました。

自転車の運転中にスマホで通話したり、画面を注視したりする「ながらスマホ」はこれまで、都道府県の公安委員会規則で禁止されており、罰則は5万円以下の罰金でした。今回、改正道交法で禁じられ、6月以下の懲役または10万円以下の罰金へと厳罰化されました。さらに「ながらスマホ」により事故を起こすなど交通の危険を生じさせたときは、1年以下の懲役または30万円以下の罰金となりました。

飲酒運転については、これまでも酒に酔った状態で自転車を運転する「酒酔い運転」が禁止され、違反した場合、5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられます。今回、改正道交法で、新たに「酒気帯び運転」(一定以上のアルコールを体内に保有)も罰則の対象となりました。違反すると、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。

さらに酒気帯び運転になると知りつつ、自転車や酒類を提供したり、自分を送るように依頼して同乗したりしたケースも罰則が新設されました。

この他、2026年5月までに、16歳以上の自転車運転手に、113項目の違反行為について反則金を納付させる交通違反切符(青切符)制度も導入されます。

自転車運転中に事故が発生すれば、加害者にも被害者にもなり得ます。日頃からルールを守り、安全運転を心がけてください。

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