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2024年

国際結婚したが 日本国内で離婚可能か-国籍、住所地…法的に複雑

 神戸新聞2024年10月2日掲載
執筆者:兵庫県弁護士会広報委員会

10年前に外国人の男性と結婚して以来、夫婦で日本に住んでいます。 最近折り合いが悪く離婚を考えています。私は夫の国籍を有しておらず、 夫も国籍を変えていません。日本国内で離婚できるのか教えてください。

 離婚に限らず、国際的な問題については、関係する国々で法律が異なるため、いったいどの法律で対応すべきなのかなど国内で完結する法律間題の場合とは異なる間題が発生します。

 国際的な法律問題のうち、離婚を含む家族関係や取引関係など私法上の問題 についてどの国の法律を適用すべきかは「法の適用に関する通則法」(以下「通則法」)で決められています。

 離婚については、「夫婦の本国法が同一であるときはその法により、その法がない場合において夫婦の常居所地法が同一であるときはその法により、そのいずれの法もないときは夫婦に最も密接な関係がある地の法による」などとされています。夫婦は国籍が別ですが、日本に住み続けておられるため、日本の法律が同一の「常居所地法」となり、日本の法律で離婚できるかどうかが決まります。日本では話し合いで離婚する協議離婚が認められているので、離婚届の提出で離婚が成立します。

 ただし、夫が国籍を有する国で、離婚を認めていなかったり、裁判でしか離婚できなかったりする場合、日本で認められた離婚がその国では認められない可能性もあります。

 一方、結婚を機に夫と同じ国籍を取得していた場合、その国の法律が夫婦の同一の本国法になるので適用されます。仮に裁判による離婚しか認めていなかったら、離婚届を出すだけでは離婚は成立せず、日本の家庭裁判所でその国の法律による裁判離婚を行う必要があります。

 また、夫婦に子どもがいる場合、離婚に伴う親権や養育費などの親子関係に、どの国の法律が適用されるかは通則法で決められます。夫婦で夫が国籍を持つ国に移住していたときは、これまで述べた内容をその国で検討することになります。夫だけがその国に行ってしまったケースでは、日本で離婚をすることができるのかという問題が発生します。

 このように、国際結婚をした人の離婚に関わる法律問題はとても複雑なので、弁護士や領事館などに相談してください。

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