くらしの法律相談(2017年~)

ヒマリオンの部屋ヒマリオンの部屋

2024年

虐待疑いで通報なら 子どもは施設入所か-多くは家庭で養育 支援制度も

 神戸新聞2024年8月21日掲載
執筆者:兵庫県弁護士会広報委員会

小学1年の子どもが言うことを聞かず、つい怒鳴ったり、時には手を上げてしまうことがあります。叱る声や泣き声から虐待を疑われ通報されると、子どもは施設に入れられてしまうのでしょうか。

 通報によって子どもと引き離されることを心配されておられますが、通報されたからといって子どもが必ず施設に入るわけではありません。
 子どもへの虐待が疑われる場合、これを発見した方には市区町村の関係機関や都道府県や市の児童相談所などに通告をする義務があります(児童福祉法25条など)。通告があった場合、市区町村や児童相談所の担当者が事実確認を行います。

 事実確認の内容次第では、子どもが短期間施設に行く「一時保護」となる場合もあります(同法33条1項)。しかし、ほとんどの場合は、一時保護はされずそのまま家庭で過ごし、親子で、市区町村や児童相談所の子育て支援(在宅援助)を受けることもあります。

 子どもへの虐待には、身体に苦痛を与える身体的虐待、精神的に苦痛を与える心理的虐待など、さまざまなものがあります。あなたが怒鳴ったり手を上げたりすることが、虐待に当たるかどうかは具体的なお話を聞かないとわかりませんが、子どもに対する虐待は、子どもの身体、精神、行動に多大な悪影響を及ぼし、その影響は長期にわたるといわれています。

 子育ては幸せなことだけではなく、つらいことも多く、誰もが子育てに悩んでいます。そのため、市区町村や児童館などでは、日常的に子育て相談を受け付けています。また、子育て専用の24時間電話相談もあります。市区町村の広報紙などに掲載されているので、気軽に利用してみてください。

 他にも、多くの公立学校にスクールカウンセラーが配置されており、保護者からの相談にも対応してもらえます。困りごとに合わせた子育て支援の情報の提供や紹介(利用者支援)、親がリフレッシュしたい時や親の入院・出張などの時に宿泊で子どもを預かるショートステイ、家庭訪問での相談援助(養育支援訪問)など、さまざまな子育て支援制度があります。怒鳴ったり、手を上げてしまうほどに悩んでおられるなら、子育て支援の窓口に相談してみてください。

この記事をSNSでシェアする