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2024年

トラックドライバー「残業代減ると困る」-上限超えた時間外労働は違法

 神戸新聞2024年5月15日掲載
執筆者:兵庫県弁護士会広報委員会

トラック ドライバーをしています。 会社から今年4月から残業時間が減ると言われました。 そうなると残業代が減り、生活費が足りなくなるかもしれません。残業を減らさないようにできないのでしょうか。

今年(2024年)4月1日から、トラックドライバーを含む自動車運転業務に携わる方の時間外労働時間の上限が、いわゆる労使の協定がある場合でも「年960時間以内」となりました。

いわゆる働き方改革の一環として、働き過ぎによる過労死などを防ぐため、時間外労働(残業)の上限規制について法律で規定され、自動車運転業務については4月1日に施行されました。会社から「4月から残業時間が減る」といわれたのはこの改正のためだと思われます。

業種を問わず、労働時間は原則として1日8時間、週40時間であることはご存じだと思います。改正前は時間外労働について、厚生労働大臣の告示による基準はありましたが、これを超える時間外労働を行わせることが可能でした。しかし、改正後は、会社と労働組合が合意した場合であっても、時間外労働時間は「年720時間以内」「複数月平均80時間以内」「単月100時間未満」とされ、これに違反した場合には雇用主に6カ月以下の懲役を含む罰則が科されることとなりました。

一方、自動車運転業務の場合は、トラック運転手などの業務の特殊性に配慮して、会社と労働組合が合意した場合でも、「年960時間以内」とされ、「複数月平均80時間以内」「単月100時間未満」という2つの制限は適用されないことになっています。

相談者が会社に残業をさせてほしいと頼んでも、会社が罰則を受けることを考えると、上限規制を超えた時間外労働をさせてくれることはないでしょう。

脳・心臓疾患に関する労災を認定する時間外労働時間の目安は「1カ月100時間、2~6カ月の平均が80時間程度」とされており、年960時間(月80時間) の時間外労働の上限を超えて働くと過労死のリスクが高まります。

手取り給与が減るのは大変だと思いますが、過労死につながると本末転倒です。不要な支出を抑えるなど生活を見直されてはいかがでしょうか。

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