神戸新聞2024年2月21日掲載
執筆者:平野 愛子 弁護士
-
この1月中旬に離婚しました。再婚を考える相手男性(A)がいます。女性には再婚禁止期間があると聞きますが、現時点でAとの再婚は可能ですか? 再婚までに妊娠した場合、子の父は誰になりますか?
-
現行民法には、女性に100日の再婚禁止期間を定める規定があります。相談者の場合、現時点では離婚後100日が経過していないため、Aとの再婚はできないことになります。
しかし、民法改正に伴い、2024年4月1日以降はこの再婚禁止期間を定める規定が廃止となります。相談者は4月以降なら、離婚後100日以内でも、Aとの再婚が可能となります。
改正法では、このように女性の再婚禁止規定がなくなり、さらに法律上(戸籍) の子の父を誰にするかについても新しいルールができました。
再婚前に妊娠した場合、現行民法の規定では、離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子と戸籍に記載されます。改正による新たなルールでは、再婚前の妊娠であっても再婚後に出生した場合は再婚後の現夫の子と記載されることになりました。2024年4月1日以降に生まれる子に適用されます。
従って、相談者がAと再婚後に子が生まれた場合は、その子は前夫ではなく、Aの子と記載されることになります。
しかし、相談者がAと再婚しないで出産した場合は、離婚後300日以内に生まれた子として、前夫の子と戸籍に記載されます。再婚後に出産しなければAの子とはなりません。
再婚前に出生した場合、子の父は本当は前夫ではないと認定してもらうためには、「嫡出否認の訴え」という裁判などの手続きが必要になります。「嫡出」とは、戸籍上の夫婦間に生まれる、という意味です。「嫡出否認の訴え」とは戸籍上の父題と実際の父子関係は違う、ということを求める裁判のことです。
この「嫡出否認の訴え」の手続きについても改正があり、裁判を起こせる人が、父親(前夫)だけでなく、子や母親などにも拡大されました。裁判を起こせる期間も1年から3年に伸びました。
子の法律上の父が誰かという間題は、子の将来に大きく影響します。詳しくは弁護士にご相談ください。