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自宅を手放さずに 借金を減らしたい-「個人再生手続」の利用を

 神戸新聞2025年1月15日掲載
執筆者:野村 亮太 弁護士

住宅ローンを組んで抵当権を付けて自宅を購入したサラリーマンです。 生活費が増えた上に、給料が減ったため、住宅ローン以外の借金が総額400万円に膨らみました。 自宅を手放さずに借金を減らす方法はないでしょうか。

 「住宅ローンの特則付き」の「個人再生手続」をすれば、自宅を手放さずに、住宅ローン以外の借金を減らすことができます。

「個人再生手続」とは、裁判所の手続きによって借金が減免される「債務整理」の1つです。債務者(借金をした人)のうち借金などを返済できなくなった人が、全債権者(貸した人) に対する返済総額を少なくし、その少なくなった後の金額を原則3年間で分割して返済する再生計画を立てます。債権者の意見を聞いた上で裁判所が認めれば、その計画通りの返済をすることによって、残りの債務(養育費・税金など一部の債務を除く)などが免除されるという手続きです。

「個人再生手続」でも債権者は平等に扱われるため、本来、住宅ローンも減額の対象となり、住宅ロー ンの債権者が認めない限り、自宅を手放すことになります。しかし、生活再建という目的から自宅を手放さずに済むように、住宅ローンだけは全額返済し続けることが可能となる住宅ローンの特則を付けることができます。

「個人再生手続」には「小規模個人再生手続」と「給与所得者等再生手続」の2種類ありますが、実務上よく利用される「小規模個人再生手続」は、将来において継続的にまたは反復して収入を得る見込みがあり、かっ、債務総額(住宅ローンを除く)が5千万円を超えない債務者が利用できます。

住宅ローンの特則を付けるためには、債務者自身が住むための建物であること、債務者が所有していることなどの要件を満たす必要があります。 このように住宅ローンの特則付きの「個人再生手続」を取れば自宅を手放さずに住宅ローン以外の借金を減らすことができますが、住宅ローンを全額支払いながら他の借金も計画通りに支払っていくのは大変なことです。支払いが滞ると結局破産することになりかねません。早めに弁護士にご相談されることをお勧めします。

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