神戸新聞2022年12月16日掲載
執筆者:竹中 らく 弁護士
-
11月に裁判所から「裁判員候補者名簿への記載のお知らせ」という封筒が届きました。 高校生なので学校があるのですが、 裁判に参加しなければならないのでしょうか。 辞退することはできますか。
-
裁判員制度とは、2009年にスタートした国民の中から選ばれた裁判員が刑事裁判に参加する制度です。
裁判所は、毎年11月ごろに翌年、裁判員に選ばれる可能性のある方の「裁判員候補者」名簿を作ります。裁判員に選ばれる可能性のある方に対しては、名簿に記載されたことをお知らせする通知書が届きます。今回届いた封筒は、「あなたのお名前が23年分の裁判員候補者名簿に記載されました」というお知らせになります。
これまでは衆議院議員の選挙権を持つ20歳以上の日本国民が裁判員になることができましたが、成人年齢が引き下げられたことにより、裁判員になることができる年齢が18歳以上となりました。
それに伴って、23年分から18~19歳の方も名簿に記載されることになり、実際に選ばれる可能性があります。
裁判員に選ばれた場合、基本的に辞退することはできません。
ただし、国民の皆さんにはさまざまな事情があり裁判に参加することができない場合がありますので、法律で一定の辞退事由が定められています。
学生の方の場合は、裁判が行われる平日ほぼすべての曜日の昼間に授業がある学校に通っている場合や、夜間学校の場合でも昼間に行われる試験・学校行事に出席するなど、社会生活上の重要な要務がある場合は、辞退が認められています。
もっとも、裁判員制度は、裁判官と国民から選ばれた裁判員が、それぞれの知識経験を生かしながら一緒に判断することで、より国民の理解しやすい裁判を実現することができるとの考えのもとに作られた制度です。若い世代の方にも率直な意見を積極的に出していただき多様な視点が裁判に反映されることが期待されています。学生の方が実際の事件の裁判員候補者となった場合は、学校生活に支障が出ないように学校や保護者の方とよく相談しながら、参加の可否を考えてください。