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2022年

刑事裁判における被害者保護措置は?-法廷でついたて設置など

 神戸新聞2022年12月7日掲載
執筆者:金山 明頼 弁護士

 犯罪の被害に遭ってしまいました。 検察官からは裁判で証人尋問をするかもしれないと言われているのですが、私の個人情報が法廷で読み上げられたり、 加害者と顔を合わせたりするのでしょうか?

 顔見知りではない加害者から犯罪被害を受けたとき、被害者の方は自分の個人情報が加害者側に知られてしまうのではないかという不安を抱きがちなようです。

 刑事裁判が開かれる場合、裁判は公開されていますから、法廷に傍聴人がいる可能性があります。そのため、被害者の方は加害者以外の第三者にも個人情報が知られてしまうのではないかという心配が生じます。

 このような問題のため、刑事訴訟法では、一定の要件を満たす場合に被害者の氏名、住居、職業などを明らかにしない旨の措置を取ることができるようになっています。この措置が取られると、検察官が起訴状を朗読する際に被害者の氏名などを読み上げず、「A」などの符号で置き換えるなどしますので、法廷で被害者の氏名などの情報が出ないようにすることができます。

 次に、裁判で証人尋問を行う場合、原則として証人は法廷で加害者や傍聴人の前で証言することになっています。しかし、これでは加害者の前で被害者が証言しなければならない場合も生じてしまい、十分証言できるかどうか不安が残ってしまうほか、報復などを受けるのではないかという恐怖心も抱きかねません。

 そこで刑事訴訟法では、証人が被告人や傍聴人の面前では圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるような場合などに、被告人などと証人の間についたてを設け、被告人などから証人が見えないようにする措置を講じることができるとしています。場合によっては証人に別室で待機してもらい、法廷と別室をカメラで接続して、別室にいる証人に対して法廷から質間するというような方法(「ビデオリンク方式」と呼ばれます)が採用される場合もあります。

 いずれの点についても、個人情報を知られることに不安がある場合には、まずは裁判を担当する検察官や被害者支援を行う弁護士に相談をしてみてください。

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