神戸新聞2022年11月2日掲載
執筆者:中田 壮洋 弁護士
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「裁判所」を差出人とした「訴訟最終告知」と書かれたはがきや封筒が届きました。「あなたが利用していた会社から訴訟提起がされたため、最終取り下げ期日までに連絡するように」 との内容に心当たりはありません。 どう対応すればよいでしょうか。
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近年、「裁判所」や「法務省」を差出人と称して、「訴訟が提起されたため、訴訟の最終取り下げ期日までに、至急連絡するように」と通知するはがきや封筒が送られているようです。中には「期日までに連絡をしない場合には、原告の主張が全て受け入れられ、直ちに強制執行手続きが開始される」などと不安をあおるものもあります。
「裁判所」や「法務局」を差出人として、難しい裁判用語が書かれた書類が届けば、焦って連絡をしてしまうかもしれません。
しかし、仮にあなたに対して本当に裁判が起こされた場合、裁判所からは特別送達という特別の配達方法で訴状が届きます。これは本人や家族などに手渡しする必要のある配達方法です。また、法務省が一般市民に対してはがきや手紙を送ることはありません。よって、「裁判所」や「法務省」を差出人とするはがきや封筒がポストに投函されていた場合は、架空請求の疑いが濃厚です。
このような場合は、はがきや手紙に書かれている電話番号には絶対に連絡をしないようにしましょう。電話をすると言葉巧みにだまそうとしてきますし、弁護士の紹介料としてお金の支払いを要求されたり、コンビニのギフトカードなどで支払うよう伝えられたりすることもあるようです。
判断に迷うようであれば弁護士に相談されることをお勧めします。架空請求であるか裁判所から届いた正式な書類であるかは弁護士であればすぐに判断できます。
もしも届いた書類が正式な訴状であった場合、「答弁書」という書類を提出せずに初回期日を欠席すると、訴えた人の勝訴判決が出されてしまいますが、弁護士に相談しておけばこれへの対応についてもアドバイスを受けられます。