神戸新聞2022年10月13日掲載
執筆者:村田 淳 弁護士
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「私の考案したレシピを撮影した動画」 を動画サイトで配信しています。最近、別のサイトを見ていたところ、そのレシピを使用した動画が見つかりました。この動画の配信を止めることはできないでしょうか。
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視聴された動画の配信を止めるには、著作権を根拠として差し止め請求をすることなどが考えられます。
著作権法は「著作物」を保護の対象としていますが、具体的に「著作物」と認定されるには「思想や感情を創作的に表現したもの」である必要があります。そのため、表現されたものの内容が、事実や単なるアイデアにすぎない場合「、思想や感情を創作的に表現したもの」とは言えないため「著作物」とはされず、著作権法の保護の対象とはなりません。
実際、おにぎりの料理方法をアイデアであるとして著作権の保護の対象にならないとした判例もあり、この場合、個人が考案したレシピは著作物ではなく保護の対象になりません。
これに対して、法律上、「編集物でその素材の選択または配列によって創作性を有するものは、著作物として保護する」とされています。料理やシェフの写真、料理のレシピを選択・分類し、料理ごとに配列したレシピブックについて、「編集物である料理などの写真やレシピの選択・配列には一応、編集者の個性が表れている」として「著作物」性を肯定した判例も存在します。
よって、「相談者の考案したレシピを撮影した動画」が、その素材の選択や配列によって創作性を有していると判断された場合は、著作権が認められます。その上で、別サイトの動画が「相談者の考案したレシピを撮影した動画」の著作権を侵害するような内容であった場合に、著作権を根拠として差し止め請求を行い、動画の配信を止めることができます。
ただ、動画が著作物として認められるのか、認められたとしても著作権が侵害されているのかは、法律家でも難しい判断を迫られる分野ですので、ご注意ください。