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2022年

小学5年の息子が学校でいじめに遭っている-法律に基づき学校に通報を

 神戸新聞2022年8月17日掲載
執筆者:小山 徹 弁護士

 ある日 帰宅すると、 小学5年の息子が汚れた服を洗っており、体にあざがありました。聞くと、クラスの複数の男子から無視され、日常的にたたかれたり、蹴られたりしているそうです。息子を守るために何ができるでしょうか。

 2011年の大津市の中学生の自殺を機に翌々年、いじめ防止対策推進法が成立しました。相談者は、同法やその他の法律に基づき何ができるでしょうか。

 相談者は、同法により、息子さんが通う小学校へ通報する義務があります。

 通報を受けた小学校は、速やかに息子さんや加害児童へのヒアリングなどの調査を行い、教育委員会に報告せねばならず、相談者は調査結果の提供を受けられることがあります。

 小学校は、調査結果に基づき、息子さんや相談者への支援、加害児童に対する指導を行うこととされ、息子さんが安心して学習できる環境(加害児童に別室で授業を受けさせるなど)を整えなければなりません。

 相談者は、調査結果を踏まえ、加害児童などへの民事損害賠償請求をすることができます(なお、息子さんがいじめで負ったけがの治療費については、災害共済給付でカバーされることがあります)。責任能力が認められる場合は加害児童に対し民法上の不法行為責任を、認められない際は加害児童の保護者に監督義務者責任を追及することになります。同時に、小学校に対する監督代行者責任も追及できる可能性があります。

 仮に、教職員の対応が不十分で、いじめが解消されなかったとすれば、小学校を設置する自治体に対し、安全配慮義務違反を問うこともできます。

 相談者は、加害児童の処罰を望むかもしれません。警察へ被害届を提出すれば加害児童の調査が進められ、時に児童相談所へ送致されることがあります。

 以上が法的にとりうる手段となりますが、最も大切なことは、相談者が息子さんの最大の理解者として全面的に寄り添い、息子さんの心身のケアに努めることでしょう。

子どもが家で学校の話をしなくなった、持ち物をなくすようになった-など、いじめのわずかな兆候に気づいてあげてほしいと思います。

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