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2022年

弁護士に依頼 したいが費用はどう決まりますか-依頼前に委任契約書を確認

 神戸新聞2022年6月15日掲載
執筆者:井上 篤 弁護士

 トラブルに巻き込まれたので弁護士に依頼したいと考えていますが、費用が高額と聞きます。 弁護士費用はどう決まるのですか。 お金がない場合に何かいい方法はないですか。

 弁護士費用は、着手金と報酬金という形で支払うのが一般的です。着手金とは事案の処理を弁護士が引き受ける際に発生する費用です。報酬金は事案の処理が終了した際の成果に対して発生するお金です。成果がゼロの場合は基本的に支払う必要はありません。これらとは別に交通費などの実費も必要となります。遠方への出張などに別途日当が要る場合もあります。

 着手金や報酬金ですが、多くの弁護士は、着手金を「請求する(請求を受けた)経済的利益の約10%程度」、報酬金を「得られた(免れた)経済的利益の約15%」としているように思います。ただあくまで目安で、事件の種類、経済的利益の額、事案の難易度などで変わります。

 弁護士は、着手金の額や報酬金の決め方を記載した委任契約書を作成しますので、依頼をする前にはその内容をしっかり確認してください。

 弁護士費用の経済的負担を減らす方法として弁護士保険があります。よく知られているのは「交通事故で相手方に法律上の損害賠償を請求する場合の弁護士費用」を補償する保険ですが、「日常生活での事故」でも補償する保険商品もあります。日常生活の事故とは、「マンションの上の階で水漏れが発生し洋服が汚損した」といった場合です。弁護士保険は、自動車保険の特約などで加入しているのに忘れていることもありますので、一度保険の内容を確認してみてください。ただし、補償される範囲は保険契約(特約)の内容によりますのでご注意ください。最近では、「事故」以外の例えば遺産分割調停などで補償を受けられる保険商品も現れているようです。今後のためにこれらの弁護士保険を検討されても良いかもしれません。

 なお、経済的余裕のない方に対して弁護士費用などを立て替えてくれる法テラスという組織があります。法テラスを通すと通常よりも安価で弁護士に依頼できます。ただし、立て替えを受けるには基準を満たす必要がありますのでご注意ください。

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