神戸新聞2022年3月2日掲載
執筆者:吉山 裕 弁護士
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先日、夫が傷害の容疑で逮捕されました。 突然のことでどうすればよいか混乱しています。 知り合いに弁護士はおらず今後のことが不安です。弁護士を探す方法や今後の流れについて教えてください。
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突然、家族が逮捕されると心配ですね。普通、警察から家族へ最初に入ってくる情報は「逮捕された」という事実と犯罪名くらいです。容疑については、概略を教えてくれるときもあれば、一切教えてくれないときもあります。また、本人 が認めているかどうかもわかりません。警察に行ってみても家族がすぐに面会できるわけでもありません。 家族としては何が何だかわからなくて不安が募るでしょう。
そんなときは、弁護士会に電話をかけて、当番弁護士の出動を求めましょう。 当番弁護士は逮捕、勾留(捜査を行うための約10日間の拘束)をされている人の元にできるだけ早く駆け付け、逮捕後の手続きの流れや見通し、取り調べへの対応についてアドバイスします。
また、引き続き弁護士のサポートを受けるための方法についても説明します。 当番弁護士の出動は、無料です(ただし1回のみ)。 当番弁護士は、捕まっている本人のほか、家族も出動を求めることができます。 当番弁護士に「本人との面会の後で連絡をしてほしい」と伝えておくと、当番弁護士から本人の様子や面会の内容などを聞ける場合もあります。
逮捕後の流れについてですが、軽い罪であれば、早ければ48時間以内に釈放されることがあります(通称「ヨンパチ」と言います)。 今回のように傷害罪の場合は比較重い犯罪なので、勾留されることが多いと言えます。勾留されると、弁護を頼める弁護士がいない場合や弁護士費用を用意できない場合でも、国選弁護人を付けることができます。国選弁護人は、原則として費用がかかりません。 兵庫県弁護士会では、当番弁護士として出動した弁護士が引き続き国選弁護人になることができる制度をとっています。
刑事事件における弁護活動では「初動が大切」とよく言われます。なるべく早く弁護活動を開始できるように、当番弁護士の出動を求めていただくのが良いと思います。