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2021年

車で歩行者にけが負わす 責任どう問われるか不安-刑事、行政、民事上で責任

 神戸新聞2021年12月15日掲載
執筆者:長岡 徹 弁護士

車で帰宅途中に横断歩道付近で歩行者と接触し大けがを負わせてしまいました。事故処理をした警察官より私の前方不注意だと指摘され、この先が不安です。どのような責任が問われるか教えてください。

 過失により交通事故を起こした場合、刑事上の責任▽行政上の責任▽民事上の責任-という3つの責任に問われます。

 まず刑事上の責任ですが、自動車運転処罰法違反(過失運転致傷)に該当する場合、7年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金に処せられる可能性があります。不起訴なら処分は受けませんが、歩行者が優先されるべき横断歩道付近での事故であり、被害者が大けがをしているため、何らかの処分が下る可能性が高いと考えられます。

 次に行政上の責任として、免許停止処分または免許取消処分が考えられます。これは刑事上の責任とは別の処分であり、刑事処分で罰金を払っても免許停止等を回避できるわけではありません。

 被害者のけがが加療15日以上であれば、少なくとも30日の免許停止処分に相当する違反点数となります。相談者の過去の違反歴や被害者のけがの程度によっては、さらに重い処分(より長期の免許停止や免許取り消し)となる可能性もあります。

 最後に民事上の責任ですが、事故によって被害者に発生した損害を賠償する責任を負います。けがの治療費や慰謝料、仕事を休んだ分の休業損害のほか、後遺症をもたらした場合はその賠償も必要になり、賠償額は数百万円から数千万円になる場合もあります。

 相談者が任意保険に加入していれば、保険会社が交渉から支払いまで対応してくれます。しかし、加入していなければ、自動車損害賠償責任保険の上限額(120万円と、後遺症がある場合はその程度に応じて75~4000万円加算)を超える部分は、相談者が自ら被害者に支払う必要があります。

 なお、交通事故は千差万別であり、相談者に有利な事情を申告することで、各責任が軽減されることもあります。具体的な状況に応じた検討が必要ですので、疑問に感じるところがあれば、お近くの弁護士にご相談されることをお勧めします。

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