神戸新聞2021年12月1日掲載
執筆者:任 真赫 弁護士
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借金が200万円ほどあり、破産手続きを利用したいと思っています。借金の原因にギャンブルが含まれている場合、免責の判断がされることはないと友人から聞きました。本当に免責されないのでしょうか。
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自己破産とは、借金の返済ができなくなってしまったときに、裁判所に申し立てをして返済を免除してもらう手続きのことです。裁判所が借金の返済免除を認めることを「免責」と言い、破産法では、免責不許可事由(免責を認めないさまざまな理由)がない場合、裁判所は免責許可の決定をすると定められています。
破産手続きの利用を考えている本件の相談者は、借金の原因にギャンブルが含まれているようです。
破産法では、免責不許可事由の1つとして「浪費または賭博その他の射幸行為によって著しく財産を減少させ、または過大な債務を負担したこと」と定められています。ギャンブルのために借金をしている場合、借入金額や費消された金額等にもよりますが、「浪費または賭博その他の射幸行為によって著しく財産を減少させたこと」に当たる可能性が高いと考えられます。
免責不許可事由に当たるとなると、裁判所は、免責を許可せず、借金の免除を認めないというのが原則となります。このようなルールがあることから、相談者の友人は、免責されないと伝えたのだと思われます。
では、借金の原因にギャンブルが含まれている場合に免責の判断がされることはないのでしょうか。
実は、免責には「裁量免責」というものもあります。裁量免責とは、仮に免責不許可事由があったとしても、裁判所が一切の事情を考慮して免責を許可することができるというものです。
実務上、借金の原因にギャンブルがあったとしても、例えば、本人が反省しており、生活態度を改めている等の事情がある場合、ほとんどのケースで、裁量免責が認められています。
本件でも、相談者が反省している等の事情があれば、免責が認められる可能性は十分にあるでしょう。
このように、借金の原因にギャンブルがあるからといって、必ず免責の判断がされないわけではありません。借金問題で困っている場合、弁護士に相談することをお勧めします。