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2021年

交通事故で車買い替え 代車費用は請求可能か-必要性あれば1カ月程度

 神戸新聞2021年10月20日掲載
執筆者:宮本 健吾 弁護士

先日、自動車を運転中に交通事故に遭いました。車は廃車にし、この機に車を買い替えようと思います。代車費用を負担してほしいのですが、代車費用は新車の納車日まで負担してもらえるのでしょうか。

 代車は、利用する必要性が認められ、かつ、相当な利用期間の代車費用を、相手方に交通事故の損害として請求できます。

 代車利用の必要性は、営業用の自動車の場合、また、自家用車でも通勤・通学で利用しているなどの事情があれば、通常は認められます。

 しかし、交通事故に遭った自動車が、レジャー・趣味に限って使用していた場合や、複数台の自動車を所有していて、それらを代車に使える場合には、代車利用の必要性が否定されることがあるので、注意が必要です。

 代車を利用する相当な期間は、自動車を買い替える場合、一般的に1カ月程度と考えられています。

 せっかく買い替えるのだから、じっくりと吟味して納車までの代車費用を負担してほしい気持ちも理解できます。しかし、被害者にも交通事故で生じた損害が拡大するのを防止する義務があり、納車までに時間がかかる相当な理由が認められなければ、不相当に長期間の代車費用は被害者が負担しなければなりません。

 なお、代車は交通事故に遭った自動車と同じ車種・グレードであることが原則です。ですので、一般的な自動車の代車として高級な外国車を利用することは認められないでしょう。

 代車は、修理業者やレンタカー会社に手配しますが、交通事故の相手方やその任意保険会社の担当者に、適宜、代車の必要性や利用期間の見通しなどを説明しておくと、後のトラブルを避けられます。場合によっては、相手方の任意保険会社が代車を手配してくれることもあります。また、自分の任意保険に代車費用特約などがあり、利用しても不利益にならないこともありますので、保険内容を確認しておくことをお勧めします。

 交通事故のショックに加えて、代車費用でトラブルになると、精神的な負担も増えてしまいます。過失割合などを巡り、代車費用の支払いが進まないこともありますので、困ったときには、弁護士への相談をご検討ください。

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