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2021年

飲酒運転で人身事故 社員解雇すべきか-就業規則に従い慎重判断

 神戸新聞2021年9月1日掲載
執筆者:重内 孝太 弁護士

会社を経営しています。社員が休日に飲酒運転で人身事故を起こして警察に逮捕されました。会社関係者は警察で社員と面会できますか。また、飲酒運転は許されない行為なので、当然解雇にすべきでしょうか。

飲酒事故を起こした従業員に対する解雇の有効性は,就業規則等における懲戒規定の周知を前提に、飲酒量や事故後の行動,職種,職位、社会的影響の大小などにより決まります。従って慎重な判断が必要です。

具体的な処分内容を検討するにあたっては,人事院の「懲戒処分の指針について」が参考になります。酒気帯び運転で人身事故を起こした場合に「免職又は停職(事故後の救護措置を怠った場合は免職)」,酒酔い運転で人身事故を起こした場合には「免職」と規定しています。公務員と民間企業の従業員を同列に論じることはできませんが,運送業など安全運転を強く求められる事業の場合は、一つの目安となるでしょう。

酒気帯び運転とは,呼気1リットル当たり0.15ミリグラム以上のアルコールが検出される状態で運転することで、ビール1杯程度でも基準値を超えることがあります。罰則は3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。酒酔い運転とは真っ直ぐに歩けない,受け答えがおかしいなどアルコールの影響で正常な運転ができない状態で運転することで、5年以下の懲役または100万円以下の罰金と、酒気帯び運転よりも重く処罰されます。

今回のケースでは被害者がいます。バス・タクシー会社や運送会社のドライバーといった安全運転に対する高度の信用性が求められる職種なら、酒酔い運転,あるいは酒気帯びで運転でも救護措置をしないで逃走したといった場合、懲戒解雇を検討してよいでしょう。

ただし、あくまで会社の就業規則等に規定される懲戒手続に従って、従業員に面談や書面での十分な弁明の機会を与えた上で判断すべきでしょう。

逮捕後に引き続き勾留されている場合、会社関係者であっても,警察官の立会いのもとで面会することができます。平日のみ,1日1組まで15分~20分程度などと各警察署によって制約がありますので,問い合わせてから面会に行ってください。ただし逮捕されて勾留が決定するまでの間は弁護士しか面会できません。面会を希望される場合はご相談ください。

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