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2021年

不倫を理由に解雇され 処分に承服できない-私生活上の行為 懲戒は不当

 神戸新聞2021年7月7日掲載
執筆者:石田 和義 弁護士

会社に勤めて10年程になります。不倫していることが会社に発覚し、「企業イメージが悪くなる」として解雇されました。解雇という処分に承服できません。どうすればよいのでしょうか?

 今回の相談は、「不倫」という私生活上の行為を理由に懲戒解雇を受けたケースと考えられます。

 懲戒解雇は、解雇予告期間も解雇予告手当もなく、退職金の支払額にも関わってくることから、労働者にとって極めて甚大な影響を及ぼします。そのため、就業規則などに懲戒の事由や手続きを規定する必要があります。

 懲戒について、労働契約法15条は「労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」には無効と規定しています。

 小規模な事業所で社内における不倫により相手方が退職したため、業務への影響が大きく、社内の秩序・風紀を乱したとして懲戒解雇が認められた事例もありますが、多くの場合、私生活上の問題であって懲戒解雇はもちろん、退職勧奨など他の懲戒処分も不当と判断されるのが一般的です。

 今回のケースで争う場合、仮に就業規則に「不倫をした場合は懲戒解雇とする」と規定されていたとしても、相談者の不倫が私生活上の問題であり、会社の対外的イメージを悪化させる現実的な可能性は低いと思われます。したがって、懲戒解雇という処分は客観的な合理性を欠くと主張することが考えられるでしょう。

 会社側が「(社内の)風紀を乱した」と就業規則に規定した事由を主張してくる可能性もありますが、会社の業務への影響を具体的に立証しない限り、今回の解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当ではないと考えられます。

 なお、結果的に解雇が無効とされれば、従来の契約関係は消滅しなかった(継続していた)こととなりますので、改めて契約関係が復活するのではありません。

 さまざまな判例がありますので、詳しくは弁護士にご相談ください。

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