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2021年

返済期間を過ぎてもお金を返してくれない-裁判所通じて解決を図れる

 神戸新聞2021年6月16日掲載
執筆者:大田 健司 弁護士

知人に200万円を貸しました。返済期限はとうに過ぎているにもかかわらず、何かしら理由をつけて返してくれません。お金を返してほしいのですが、どうしたらよいのでしょうか。

 貸したお金を返してもらう権利は「貸金返還請求権」と言い、返してもらう約束をしてお金を渡し、返済期限がくれば、この権利を行使できます。

 返済期限を過ぎても返してもらえない場合、①内容証明郵便で返済を求める、②裁判所を通じて返済を求める-という手段が考えられます。もちろん電話や面談で返済を求めてもよいですが、強い言い方をしてしまうと反対に恐喝や脅迫をしたと言われることもあるので、避けた方がよいでしょう。

 ①の場合、貸した額や返済期限、返済用の口座情報等を明記し、内容証明郵便が届いてから何日以内に返済するようにと書きます。もっともこの方法は相手に自発的な返済を促す効果しかなく、強制力はありません。

 ②には、「支払督促申立」という方法と裁判を起こす方法があります。支払督促申立は裁判所に申立書を提出し、特に証拠を提出する必要もありません。申立後、裁判所から「支払督促」という書類が相手に送られ、相手側からの反論(異議申し立て)がなければ差し押さえなどにより強制的に回収することが可能となります。ただし、相手側が反論してきた場合は通常の訴訟に移行します。

 裁判には柔軟な解決が期待できるというメリットがあります。支払督促では「200万円支払え」と命じられるだけですが、裁判の場合は分割払いの合意(和解)などもできますので事案に応じた解決を図ることが可能となります。

 もっとも相手側の態度次第では、判決後、強制執行すなわち相手の預金口座や勤務先の給与、所有する不動産などを差し押さえて強制的に回収を図ることになります。

 最後に、返済期限がある場合は返済期限から、返済期限がない場合は貸付時から、それぞれ一定期間が過ぎると時効となり、貸金返還請求権が消滅してしまうことがありますので注意が必要です。貸金トラブルでお悩みの場合はお気軽に近くの弁護士に相談してみてください。

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