神戸新聞2021年5月19日掲載
執筆者:藤掛 昂平 弁護士
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コロナによる外出自粛で家にいる時間が長くなりましたが、妻と性格が合わず、一緒にいても楽しくありません。離婚したいです。離婚するためにはどうしたらよいでしょうか。
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離婚したいとの相談ですが、離婚する際はまず互いに話し合い、合意により離婚するのが原則です。当事者間での話し合いの結果、妻も合意すれば問題無く離婚できます。
当事者間での話し合いで解決しない場合、家庭裁判所に調停を申し立てます。調停とは、夫婦関係などの紛争解決のため、裁判所が仲介して当事者間の合意を成立させるための手続きで、裁判所により選ばれた調停委員が双方の話を聞きながら進めていきます。
しかし、調停はあくまで当事者間の合意を促すもので強制的に離婚を求めることはできません。調停を経ても合意に至らない場合は、家庭裁判所に訴訟を提起する必要があります。
夫婦の一方が離婚に合意しない場合に、もう一方が提起した訴訟において離婚が認められるには、民法770条第1項各号に挙げられた事情があることが必要です。具体的には、①不貞行為があったとき②悪意で遺棄されたとき③生死が3年以上明らかでないとき④強度の精神の病にかかり回復の見込みがないとき⑤その他婚姻を継続しがたい重大な事由があるとき-です。
本件では①~④に当たる事情はなく、また、単に性格が合わないというだけでは⑤に当たるとも認められません。
⑤に当たるのは、婚姻関係が完全に破綻し、これを形式的に維持するより離婚を認めた方が良いと考えられる場合であり、具体的には、相当長期間の別居が継続した場合に⑤が認められることがあります。
以上のことから、本件において現時点では、妻が離婚に合意しない限り、離婚が成立するのは難しいと考えられます。
妻と一緒にいたくないということであれば、妻や子に対する生活費(法的には「婚姻費用」といいます)を支払いながら別居を始め、離婚についての話し合いを行い、相当長期間がたっても話し合いがまとまらなければ、調停・訴訟といった法的手続きに進んではいかがでしょうか。