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2020年

どのような言動がパワハラに当たる?-別室への隔離など該当恐れ

 神戸新聞2020年12月16日掲載
執筆者:石田 優一 弁護士

 社内でパワーハラスメント(パワハラ)をテーマに研修を行うことになりました。具体的にどのような言動がパワハラに該当するのでしょうか。パワハラを防ぐために何か工夫する点などがあれば教えてください。

 裁判例によれば、パワハラとは、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景として、業務の適性な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える、または職場環境を悪化させる行為などと定義されています。例えば仕事上の重大なミスに対する叱責・指導が、業務上必要なもので相当な内容にとどまっている場合にまでパワハラに当たってしまうわけではありません。

 しかし、①他の社員の前で大声で怒鳴りつけること②長時間にわたって執拗に叱責すること③机をたたくなどの暴力的な行動に出ること④「ばか」「給料泥棒」といった侮辱的な言葉を用いること⑤指導と称して1人だけを別室に隔離すること⑥仕事を取り上げて勤務時間中にほとんど何もすることがない状態にすることなども、パワハラに当たる恐れがあります。

 指導に当たり、今後同じミスをさせないための指導としてやり過ぎではないかという視点、指導を受ける側がひどい苦痛を受けてしまわないかという視点を持つことが大切です。

 労働施策総合推進法の改正(中小企業については経過措置により2022年4月1日から適用)により、パワハラを防止することが法律で義務づけられました(同法第30条の2から第30条の8まで)。今後は、企業の規模を問わず、パワハラを防止するための対策を日常的に実施することが一層重要になります。

 パワハラ対策研修で参考になるのが、厚生労働省が開設する「あかるい職場応援団」というサイトです。過去にパワハラで裁判になった事例や、パワハラにならない指導例を紹介したビデオなど、パワハラ対策に有益な情報が提供されています。

 パワハラを防ぐためには、社員間での意見交換も大切です。パワハラに当たるか当たらないかの線引きは、人によってさまざまな考え方があるからです。パワハラ対策研修では、グループワークを採り入れることをおすすめします。

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