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2020年

賃貸物件で雨漏り 誰にどんな請求できる-貸主に対して修繕の要請を-

 神戸新聞2020年2月19日掲載
執筆者:小林 優介弁護士

 3年前から賃貸物件を借りて住んでいるのですが、最近、雨漏りがひどくなって困っています。どうにかしてほしいのですが、このような場合、誰に対してどのような請求を行うことができるのでしょうか。

 ご質問の借主が誰に対してどのような請求ができるかは、賃貸物件に雨漏りが発生した場合に、誰にどのような責任が生じるかによります。

 これは、賃貸借契約がそもそもどのような契約なのかを考えれば明らかです。賃貸借契 約は「貸主が物を貸して利用させ、借主が賃料を支払う」という契約ですので、貸主は借主に賃貸物件を利用させる義務を負うことになり、賃貸物件に不具合が生じた場合には、貸主が借主に賃貸物件を利用させられるよう修繕する義務(修繕義務)を負うことになります。

 ただ、いかなる場合でも、貸主が修繕義務を負うわけではありません。まず①貸主が修繕をしないと、借主が契約の目的に従った使用収益をすることができない場合に限って貸主が修繕義務を負うとされます。ただし、ご 質問の雨漏りのような場合には、通常、賃貸物件に居住する目的を妨げられているとして、借主は貸主に修繕を求めることができるでしょう。

 また、②修繕が不可能な場合や、修繕に不 相当に多額の費用がかかる場合、賃料の金額に照らして採算がとれない費用の支出が必要な場合にも貸主の修繕義務が認められないことがあるので、例えば、賃貸物件が古い物件で、賃料も低い場合などでは、貸主に修繕を請求できない可能性も否定できません。

 ③賃貸借の契約書上、貸主の修繕義務を免除する特約が設けられていることもありますが、雨漏りという建物の根幹に問題が生じているようなケースでは、たとえ特約が設けられていたとしても、貸主が修繕義務を負うことになると思われます。

 以上を踏まえると、ご質問の場合には、修繕が不可能などの例外的な場合を除いて、基本的には、貸主が雨漏りを修繕する義務を負うと思われます。借主は、貸主に対して直ちに賃貸物件を修繕するように求めるとよいでしょう。仮に貸主が修繕しないような場合には、借主が修繕工事を行い(負担し)、工事費 用を貸主に請求する方法もあります。

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