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2019年

10回分のエステチケット使用途中で解約できるか-有効期間内なら返金も可能-

 神戸新聞2019年5月1日掲載
執筆者:冨田 千嘉子弁護士

 先日、エステに10回通うことができるチケットを万円で購入したのですが、急に引っ越しが決まり、通うことが難しくなりました。1回分しか利用していませんが、返金してもらえるのでしょうか。

 本件の場合、まず確認すべきは契約書です。特定商取引法上、役務提供事業者は、特定継続的役務の提供を受けようとする者と特定継続的役務提供契約を締結しようとするときは、同契約を締結するまでに書面を交付しなければならないとされています(特商法42条1項)。そのため、契約書が交付されていなければ、当該規定に違反することになります。

 チケットを購入したときに契約書の交付を受けていれば、そこに返金対応する旨の記載があるかを確認します。契約書に返金する旨の記載があれば、これを根拠に返金を求めることができます。規定があれば、返金額も定められていることが多いので、その規定に従って返金を受けることとなります。

 他方、契約書の交付を受けなかった場合、後記のとおりクーリングオフの期間は書面交付日から起算されることになるため、書面が交付されない間はいつでも契約を解除して返金を受けることができます。

 次に、契約書に記載がない場合です。前記のとおり、本件においては特定商取引法の適用があります。この場合、契約書(書面)が交付されてから8日間はクーリングオフができる(特商法49条1項)ので、この期間内であれば解約及び返金を受けられることになります。

 また、本件は、特定商取引法上の特定継続的役務提供契約に該当するため、クーリングオフの期間経過後であっても、有効期間内であれば中途解約をすることができます。この場合、返金を受けられる金額の上限は、法令によって定められています(特商法49条1項、2項、5項、特商法施行令15条、16条)。

 以上のとおり、本件において、エステ契約の有効期間内であれば中途解約をすることは可能です。返金額については、事案の若干の違いによって変わってくることもあろうかと思いますが、有効期間内であれば全く返金を受けられないということはないでしょう。

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