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2019年

サラリーマンの兼業は認められないのか-会社の就業規則の確認を-

 神戸新聞2019年4月17日掲載
執筆者:金井 周一郎弁護士

 私は、サラリーマンとして勤務しながら、休日には副業をしていましたが、このほど、勤めている会社から兼業の禁止を言われました。会社員が兼業することは認められないのでしょうか?

会社と従業員は雇用契約を締結し、従業員は、会社に対し、勤務時間中の労務提供を行う契約上の義務を負っています。しかし、本来、従業員の義務は、勤務時間中の労務提供にすぎず、勤務時間外の時間については、会社は原則として規制することはできません。従って、相談者の方が勤務時間外である休日に副業を行うことは認められることとなります。

しかし、会社が、就業規則において、兼業、兼職を禁止ないし許可制とする旨を規定している場合が考えられます。会社が、就業規則において、同規定を定めることは、一般的に有効と認められています。特に、不正な競業に当たる場合、営業秘密の不正な使用を伴う場合、労働者の働き過ぎによって人の生命または健康を害する場合、兼業の態様が使用者の社会的信用を傷つける場合は有効と判断される可能性が高いです。

そのため、相談者が勤めている会社でも、就業規則において、懲戒事由で「会社の承認を得ないで在籍のまま他に雇われたとき」などの規定によって副業を禁止しているか、会社の許可を規定していると考えられます。その場合、会社の許可を得ないまま副業を続けると会社から懲戒処分を下される可能性があります。

次に、副業を行ったことを理由とする懲戒処分が有効かという争いが考えられます。この点、裁判例は、企業秩序に影響するか否か、労務提供上の支障が生じるか否かを基準として懲戒処分の有効性を判断しています。裁判例では、勤務時間終了後、毎日、6時間かつ深夜にまで労働することは労務提供上の支障が生じるとして解雇を有効と判断している事案があります。

従って、ご相談者の場合においても、副業の業種、業務内容、勤務形態、勤務時間などを考慮した上で、兼業を禁止することが有効か否か、懲戒処分は有効か否かを検討する必要があります。具体的に事情を検討する必要がありますので、一度、弁護士にご相談されることをお勧めします。

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