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2018年

旅行会社が倒産 代金戻ってくるか-登録行政庁などに弁済請求を-

 神戸新聞2018年12月5日掲載
執筆者:金井 周一郎弁護士

 旅行を予定していた私は、旅行会社に全額代金を支払いましたが、出掛ける前に会社が倒産してしまいました。 旅行代金を返してもらうことはできないのでしょうか。

 相談者が、旅行会社と旅行契約を結んだにもかかわらず、旅行会社が契約に反して旅行を実施しない場合、旅行会社に対して、債務不履行に基づく損害賠償請求をすることができます。しかし、旅行会社が倒産してしまった場合、 旅行代金を直接回収することができない可能性が高いです。

 このような場合に備えて、旅行業法は、営業保証金制度や弁済業務保証金制度を設けています。営業保証金制度は、旅行業協会の正会員以外の旅行業者と取引をした旅行者が、その取引によって生じた債権について、旅行業者が国に供託した営業保証金から一定の範囲で旅行者に弁済する制度です(旅行業法第7条)。

 これによって相談者は、旅行会社が登録している登録行政庁(観光庁または都道府県知事)に申立書を提出すれば、旅行会社が供託している営業保証金の範囲内で旅行代金の返済を受けることができます。

 次に、弁済業務保証金制度ですが、旅行業協会の正会員の旅行業者と取引をした旅行者に生じた債権を、旅行業協会が国に供託した弁済業務保証金から一定の範囲で旅行者に弁済する制度です。

 従って相談者は、旅行会社が加入している旅行業協会の弁済業務規約に準じ、旅行業協会に認証申出書を提出すると、限度額の範囲内で認証され、支払われることになります。

 このように、旅行会社が倒産したとしても費用弁済を諦める必要はなく、登録行政庁や旅行業協会に請求することによって、旅行代金の返済を求めることができます。

 また、旅行会社が、海外企画旅行を実施する第1種旅行業者である場合、旅行業者の負担により一定額の「ボンド保証金」をあらかじめ預託し、弁済限度額を拡充する制度もあります。自らが参加する旅行の企画会社が、ボンド保証制度に加入しているかどうかも確認することをお動めします。

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