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2018年

母の財産管理に不安 第三者に頼みたい-本人の意思でなら委任できる-

 神戸新聞2018年4月4日掲載
執筆者:入星 亮介弁護士

 母は判断能力はしっかりしていますが、最近、親族にお金を渡すなど散財しており、 将来に不安があります。このような状況で、母の財産を第三者に管理してもらうことはできますか?

 財産は、その所有者が自由に管理・処分できるのが原則です。第三者が財産管理をする方法として、成年後見人制度を利用することがありますが、その利用対象は判断能力が不十分な人のみです。今回、お母さんの判断能力はしっかりしているということですので、成年後見制度は利用できません。お母さんの財産は、本人が自らの意思に基づいて管理するのが原則で、お母さんの意思に基づかずに第三者が財産を管理することはできません。

 もっとも、お母さんは散財しているということですので、お金の管理が難しくなっているのかもしれません。このような場合には、お母さんの意思に基づき、本人が信頼できる家族や第三者と財産管理委任契約を結んで、財産の管理や保全などを任せる方法が考えられます。

 また、家族信託を利用して財産の管理権を家族に移すこともできます。さらに、判断能力が不十分となった場合に備え、財産管理委任契約と併せて任意後見契約を結び、判断能力が不十分になった際に任意後見へ移行させる方法も可能です。

 このように、お母さんの判断能力には問題がないものの財産管理に不安がある場合には、まず、現状の財産状態や今後の経済的な見通しについて本人と話し合い、将来のお母さんの財産を守るために、必要に応じて財産管理委任契約や家族信託の利用を検討してはどうでしょうか。

 また、お母さんの財産管理は、将来の相続などに関係する話になるので、できるだけ他の兄弟姉妹ら家族全体で話し合い、判断能力が十分なうちにお母さんの意思を共有しておいた方がよいと思います。 財産管理委任契約や家族信託は、財産の管理を第三者に任せるという重要な契約です。せっかく話し合ってお母さんの意思に沿った財産管理の方法を導き出したとしても、契約内容に不備があれば、後々問題が生じる恐れもあります。安易に考えず、弁護士など専門家に相談することをお勧めします。

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