●061129 神戸地裁尼崎支部
●神戸地裁尼崎支部 平成17年(ワ)第758号 不当利得返還請求事件
  (平成18年11月29日言渡)
●裁判官 三上乃理  
●代理人 武藤

●担当弁護士のコメント

◎ 事案は、多重債務者がAの週刊誌広告を見て融資を申し込んだところ、「保証人を付ける必要がある」といわれて、信用保証料(借入金の5%)・調査料(9万円)を求められ、融資を受けた後に支払った。Aが用意した保証人は、○(後に「Y」と名称変更)だった。両社は本店や役員が共通であったことなどから、実質は利息の上乗せをしたことを疑わせるものであった。判決は、真実は保証や調査の実体がないにもかかわらず、保証や調査の実体があると思って保証料・調査料を払ったので、保証委託契約が要素の錯誤により無効であることを理由に返還を命じた。
◎ 【調査の実体がない】 
被告の主張する調査を裏付ける客観的証拠がない。信用情報機関で取得した情報を開示しない。信用調査は保証会社の業務なので、保証委託者から保証料を取るのは不自然。会社運営の経費も調査料の内訳と説明するのはおかしい。
◎ 【保証の実体を欠く】 
保証料を決める基準が書いてあるマニュアルを提出しない。Aは保証を求めれば足りるのに、公正証書を作成し取立訴訟を提起しているのは不自然。Aにとって利益がないのに信用保証委託契約書の作成を代行している。原告にとって保証料を払うメリットがない。本店と役員が共通だった時期がある。株主名簿を提出しない。YとA間の信用保証及び業務委託契約書は、甲・乙が逆になるなど、不自然。
◎ 本件は、被告から東京簡裁への移送申立がなされたが却下され、被告に対する文書提出命令に即時抗告がなされたが却下で確定し、本人尋問をする直前になって、被告代理人が辞任した。29万円の請求に対して出張費を含む弁護士費用が過大になりすぎたのかも知れない。そのため原告本人尋問期日に被告が欠席し、そのまま判決になって確定した。

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