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くらしの法律相談(2008年-2016年)

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2016年 神戸新聞掲載『くらしの法律』相談

分譲マンション内のカラオケ店がうるさい-騒音の程度を記録に残して 神戸新聞 2016年5月18日掲載

執筆者:上垣 孝俊弁護士

Q:マンション管理組合の理事長をしています。マンションにあるカラオケ店の音がうるさいと苦情が寄せられていますが、どのように対処すればよいでしょうか。

A:分譲マンション内のカラオケ店の音がうるさいとき、管理組合としてはまず、「カラオケ店にお店を閉めてほしい」と言うことが考えられます。
カラオケ店の経営者は、区分所有法6条1項か6条3項によって、「建物の管理または使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為」をしてはならない、とされています。
そのため、ほかの入居者が、カラオケ店の音がうるさくて夜眠ることもできないような場合、区分所有法57条1項によって、操業停止を求めることができる場合があります。そのほか、民法709条に基づく不法行為責任を追及することも考えられます。
もっとも、損害賠償請求ができるのは、実際にカラオケ店の騒音で苦痛を味わった人であり、管理組合ではありません。管理組合としては、カラオケ店が不法行為責任を負うことになるからこのようにしてほしい、と調停などを通じて交渉していき、何らかの約束(ルール)を作っていくことが考えられます。
いずれの方法を採るにせよ、カラオケ店の騒音が、ほかの入居者たちの受忍限度を超えていることを証明しなければなりません。そのためまず、実際に騒音がどの程度あるのかを記録に残しておきましょう。
本当にカラオケ店の騒音なのか、そうであるとして、その音量が何デシベルくらいあるのかは、必須の情報です。その上で、夜寝られないほどかなど、受忍できるものか、その地域が行政上どういった用途地域に指定されているのかなどを参考にしながら、検討していくことになります。
このようにして、カラオケ店に、深夜帯の営業をやめてもらったり、店内に防音措置を講じてもらったり、店外で大声を出さないように注意してもらったりするなどのルール作りを目指し、粘り強く交渉することになります。