祖母が歩道で転倒、どこに苦情を言えば?-相手の有無や状況により判断 神戸新聞 2016年2月17日掲載
Q:祖母が歩道の段差で転倒し、骨折しました。誰にも苦情をいえないのでしょうか。
A:おばあさんの転倒の原因が、誰かの故意・過失に基づくものであれば、その相手に治療費や通院交通費、慰謝料などを請求できます。いわゆる、損害賠償請求です。おばあさんが、この転倒により、後遺症を負った場合は、後遺症によって失った労働能力に対する補償や、後遺症自体についての慰謝料も併せて請求することができます。
例えば、おばあさんが、速度違反や信号無視の自動車や自転車をとっさに避けようとした際に、足元の歩道の段差に気づかず転倒した場合であれば、自動車や自転車の運転手に損害賠償請求できます。相手が自動車の場合は、同乗者や所有者にも損害賠償請求できます。
仮におばあさんがヘルパーなどの補助を常時必要としている場合、転倒の原因がヘルパーの注意不足にあるのであれば、損害賠償請求できます。
さらに、歩道とは、高齢者や視覚障害者、車いす使用者などを含む全ての歩行者にとって、安全で円滑な移動が可能な構造とされるべきで、歩道面と車道面の高低差は5センチとすることが原則となっています。おばあさんが転倒した歩道の段差が5センチを超えるものであったのであれば、その歩道は、歩道としての安全性を欠く可能性があります。安全性を欠く場合、歩道の設置者・管理者である自治体に損害賠償請求をすることができるでしょう。
また、歩道のほぼ中央部分に、鉄ぶたと歩道面との間に段差があり、ある人がその段差につまずいて転倒したという事例で、損害賠償請求が認められた裁判があります。問題となった歩道は、国道沿いで交通量も少なくなく、広く住民らが利用しており、そのことが裁判所が請求を認めた理由の一つとなっています。
そこで、相談の件については、段差の程度だけでなく、交通量がどの程度あったのかなどを確認しておくことをお勧めします。