高額なリース契約-消費者保護へ弁護士らも運動 神戸新聞 2012年3月6日掲載
Q:自宅で家族と飲食店を営んでいます。営業マンから「これまでの電話機は使えなくなるので新しい物に取り換えませんか。経費も安く抑えられます」と勧められ、新たにリース契約をしましたが、従来よりはるかに高額なリース料金を請求されました。
A:リース会社と提携関係にある販売店が、商品を販売するにあたり、リース契約をあっせんし、リース契約の締結手続きを代行する取引は、「提携リース」と言われています。
提携リースの場合、販売店は成約すれば商品販売代金を一括でリース会社より受けられます。リース会社と顧客が直接対面しないことが多いので、これを悪用し詐欺的な勧誘や不当に高額な料金でのリース契約を締結させられるという事例が発生しています。
リース取引はリース会社が顧客に金融上の信用を供与する取引であり、割賦販売法により規制されるクレジット取引と同様に顧客保護の必要性が指摘されていますが、リース契約を規制する法律はありません。
被害事例の増加に伴い、経済産業省が社団法人リース事業協会に指導し、同協会も適正化を目指した告知を何度も行いましたが、問題解決には至らず、立法に向けた運動が行われるようになりました。各地の弁護士会からは、提携リースを規制する法律の制定を求める意見書が相次いで提出されており、兵庫県弁護士会も昨年10月に経済産業省や消費者庁などに、意見書を提出し、全国弁護団会議やリース立法の研究会などに参加してこの問題に取り組んでいます。
ご相談の事案は、営業マンは虚偽の説明で本来不要な電話機を契約させていますので、特定商取引法によるクーリング・オフ、消費者契約法による取り消し、民法による詐欺取り消しや錯誤無効、不法行為などを主張し、リース料金の支払いを拒んだり、既払い金の返還を求めたりするなどの対処法が考えられますが、立法規制がないため主張が容易に認められない場合もありますので、一度ご相談されることをお勧めします。
また、これからリース契約を締結する場合には、商品の必要性や料金設定、支払期間を把握しないまま締結することのないよう注意が必要です。