父の再婚相手は扶養義務-経済的余裕あることが条件 神戸新聞 2012年2月21日掲載
Q:母と死別後、再婚した父が先日、亡くなりました。再婚相手はほとんど収入がないようです。こうした場合、再婚相手の経済的な面倒を見る義務があるのでしょうか。私は、再婚相手と養子縁組をしていません。
A:民法上、扶養義務は、夫婦、直系血族および兄弟姉妹が互いに負うとされています。
直系血族とは、親と子、祖父母と孫のような血縁関係をいい、親子の場合は、実親子だけでなく、養親子の場合も含みます。また、嫡出子、非嫡出子を問いません。
これによると、あなたの場合、父の再婚相手とは養子縁組をしない限り直系血族の関係にないため、扶養義務を負わないのが通常です。
しかし、民法によると、家庭裁判所は「特別の事情」があるときは。直系血族および兄弟姉妹の他にも三親等以内の親族に扶養義務を負わせることができるとされています。
再婚相手とあなたは、一親等の姻族関係にありますから、「特別の事情」があるときはあなたも扶養義務を負うことがあります。ただし、「特別の事情」とは、扶養義務が要扶養者から過去に特別の経済的援助を受けていた場合や、扶養義務者が要扶養者の住んでいた家屋を単独相続した結果、要扶養者が住むべき家もなく、資産も使い果たしてしまっていた場合などをいい、単に要扶養者が困窮し、他に扶養能力のある親族がいないというだけでは足りないとされています。
なお、あなたと再婚相手が養子縁組した場合には血族関係が生じますから、扶養義務が発生することになります。
仮にあなたが扶養義務を負うとされた場合でも、扶養義務は自分の生活に余裕があることが条件ですから、あなたに父の再婚相手を養う経済的余裕がどうしてもないのであれば扶養を強制することはできません。その場合、生活保護などの公的扶助が考えられるでしょう。