所有道路を通行止めにしたい-住民の往来は妨害できない 神戸新聞 2010年4月6日掲載
執筆者:家木 祥孝弁護士
Q:自宅前には私が所有する道路があり、近隣住民が車で通っています、
道幅が狭く危険なため、ポールを立てて車の通行止めにしたいと考えています。
私道なので、私が決めてよいのでしょうか。
A:私道については、所有者との間で合意などがなければ、所有者以外の第三者が通行する権利がありません。したがって、原則として私道に第三者を通行させるかどうかは、所有者が自由に決定でき、所有者が私道にポールを立て、第三者が通行出来ないようにすることも問題はないと考えられます。
ただし、それができない場合があります。
それは、私道が建築基準法上の「道路」とみなされる場合です。
相談では、道が狭いとのことですが、建築基準法では幅4メートル未満の道路でも道路とする規定があります。
一般に2項道路と言われます。
2項道路の通行が日常生活上で欠かせない人には、特段の事情がない限り、通行の妨害を排除できる権利があるとされています。
近隣住民がその道路を通らなければ公道に出られないなどの場合です。
特段の事情とは私道所有者が第三者の通行で著しい損害を受ける場合などで、「車の通行が危険」だけでは、
該当しないでしょう。
今回の相談における私道が2項道路であれば、道路にポールを立てて通れないようにすると、近隣住民の通行を妨害しているとして、ポールの撤去などを求められることも考えられます。
実際には多くの私道が2項道路とされています。
私道が2項道路か、そうでないかを市役所や町役場で確認しましょう。