妻の借金、夫に返済義務?-「日常家事」なら返済義務 神戸新聞 2009年6月16日掲載
夫婦は家族の生活を維持するために、生活必需品の購入などさまざまな行為をする必要がありますが、
例えば、妻が日用品を買った場合に、夫が「妻がしたことであって私は知らない」といって代金を支払わないようであれば、特に妻が専業主婦で収入がない場合など、相手の人は困ってしまいます。
そこで、法律は日常の家事に関する行為について夫婦の連帯責任を定めています。
すなわち、妻がした日用品の購入などは、夫のためでもありますので、相手の人は夫に対しても代金の支払を求めることができることができます。
では連帯責任を負うこととなる「日常家事」に関する行為とは、具体的にどんな行為を指すのでしょうか。
この点、夫婦の家計は家庭によりさまざまなため、いくらまでの買物や借入であれば「日常家事」の範囲内だということを法律で一律に定めておくことはできません。
結局、「日常家事」にあたるか否かは、その夫婦の財政状態などを考慮して個別に判断されます。
一般的には、家庭用の食料品や衣料品の購入、光熱費、医療費の負担などは「日常家事」の範囲内であると
解されます。
ご質問のケースでも、妻のした200万円の借金が「日常家事」にあたるか否かが問題となります。
この点、一般的な家庭においては、200万円もの高額の借金が日常的に必要となることは稀であると考えられますので、 「日常家事」にはあたらないと考えられるでしょう。
したがって、ご質問者は知人からの請求に対し支払いを拒むことができます。
もっとも、この場合でも、妻が子どもの入院医療費など適当な名目を示して知人に借金を依頼し、知人も今回の借金が日常家事の範囲内の行為であると信じたことにつき正当性が認められるような場合には、夫にも借金返済の責任が認められることがあります。