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2007年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「離婚の成立-届け出時に夫婦の合意必要」神戸新聞 2007年7月3日掲載

執筆者:坂田 智子弁護士

Q:1週間前、夫と離婚について話し合い、離婚届に2人で署名押印しました。しかし、届け出ないうちに、夫から、「考えが変わったのでまだ離婚しない」との手紙が届きました。1度離婚に合意し、署名押印したので離婚は成立していると思うのですが、手元にある離婚届を市役所に提出してもいいでしょうか。

A:離婚は、離婚届を提出して初めて成立します。また、離婚届を提出する時点で夫と妻がともに離婚に合意していることが必要になります。

カッとしてつい離婚届に署名押印してしまったものの、冷静に考えるとやはり離婚はしたくない、ということはあるものです。離婚は夫婦それぞれの暮らしを変え、子がある場合には子どもの生活も変えてしまいます。ですから届け出をする間際まで考え直す機会を与えているのです。

あなたと夫の場合、離婚に合意して離婚届に署名押印しましたが、離婚届を提出していないので離婚は成立していません。また、夫の考えが変わって離婚しないと言っている以上、今からあなたが離婚届を提出しても離婚は成立しません。

では、あなたが手元の離婚届を市役所に提出するとどうなるでしょうか?

このケースのように離婚届に署名押印したもののその後翻意したり、夫婦の一方が無断で離婚届を出したりする場合など、無効の離婚届の提出を防止するために、離婚届不受理申出の制度があります。この申出書を、夫が本籍地または住所地の役場に提出していると、不受理期間(6か月の範囲で申出人が決め、更新も可能)内はあなたが離婚届を提出しても受理されません。

仮に夫が離婚届不受理申出書を提出しておらず離婚届が受理されて戸籍に一旦離婚と記載されたとしても、その離婚は無効ですから、夫は家庭裁判所で離婚無効の審判または判決を得て戸籍の訂正をしてくるでしょう。

夫が離婚したくないと言うのであれば、もう一度二人で話し合ってみてはいかがでしょうか。それでも2人の考えが変わらないのなら、家庭裁判所に離婚調停を申し立てて下さい。調停でも合意ができないときは離婚訴訟を提起することになります。