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2007年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「破産-全財産までは失わない」神戸新聞 2007年3月20日掲載

執筆者:佐々木 伸弁護士

Q:500万円以上の負債があり、なんとか返済を続けてきましたが、もう限界です。
破開始決定を受けることも考えています。ただ、破産したらすべての財産を失うとも聞きます。わずかな預金、生命保険、家具などの全財産を取り上げられてしまうのでしょうか。

A:結論からいうと、破産しても全財産を失ってしまうことはありません。

そもそも、破産手続きは、多重債務に苦しむ人の再出発を手助けするためのものです。このため破産者の生活再建の観点から、一定の範囲で、破産手続きが始まった後でも債権者が差し押さえることができず、破産者が自由に管理・処分できる財産の存在が認められています。これを自由財産といいます。

ここではご質問にある「預金」、「生命保険」、「家具など」が自由財産になるかをお答えします。ここではご質問にある「預金」、「生命保険」、「家具など」が自由財産になるかをお答えします。

まずは預金。残高が20万円以下の預貯金については、自由財産とされる運用になっているようです。ただし、現金は99万円以下が自由財産とされている関係で、自己破産申し立ての直前に現金化してしまうこともあるようですが、このようなケースでは自由財産と認められないこともあるようです。

次に生命保険ですが、見込み額が20万円以下の解約返戻金については自由財産とされる運用となっているようです。また家具などについては、普通に考えて生活必需品といえるものは、自由財産とお考えいただいて差し支えないと思います。具体的には、洋服ダンス、ベッド、食器棚、テレビ、冷蔵庫、洗濯機などは、自由財産となります。ただし、複数お持ちの場合は、そのうち一つだけが自由財産となるものもあります。

以上のように、破産したらからといって全財産まで失ってしまうということはありません。もっとも、破産にともなうデメリットも少なからずあります。また、実際の運用については、若干地域差があるようです。

弁護士会の総合法律センター神戸相談所では、初回相談料を無料とするサラ金・クレジット特別相談(予約制)を行っていますので、一度利用し、弁護士に相談されることをお勧めします。