「子どものいじめ問題-事実関係の把握がまず大事」神戸新聞 2006年11月7日掲載
執筆者:田中 賢一弁護士
Q:最近、中学2年の長男が、学校でいじめに遭っているようで、学校に行かない日もあります。暴力を振るわれているのか、学校から帰ってくると体にあざがっていることもあります。どうすればよいでしょうか。
A:まず、大事なのは事実関係の把握です。学校の担任によく相談をして、どのような事態が起きているのかよく確認し、担任にも事態をよく分かってもらう必要があります。場合によっては、学年主任や部活の顧問、教頭、校長を交えて話をする必要もあるでしょう。
そして、話し合いの経緯や内容はきちんとメモにして記録化して下さい。学校への申し入れなども、ケースによっては文書で記録化しておく必要があります。
すべてを記録化しておくことは重要なことです。いじめに遭った状況を記したメモや日記、診断書、あざを撮影した写真などもきちんと管理してください。そうしないと、事実関係が曖昧になり、法的手続きをとるときに、必要な証拠がないということにもなりかねません。
学校の先生や教育委員会などに相談しても、事態が好転しない際は、弁護士に相談することも考えられます。兵庫県弁護士会では、少年問題無料相談(予約制、電話番号078-341-7061代表)も行っています。そして、弁護士に委任していじめ問題の解決を図ることもできます。この場合、弁護士は、学校や加害者との関係修復に向けて交渉していきますが、話し合いがうまくいかないとき、裁判所で調停委員を交えて話し合いをする民事調停を申し立てするなどの方法があります。それでも進展しない場合、最終手段として損害賠償請求などの提訴があります。
なお、不登校の原因はいじめに限らずさまざまです。近畿弁護士会連合会では、平成18年11月17日午前9時半から3時間、神戸市垂水区の舞子ビラ神戸で、「教育は子どものニーズにどう応えるか-不登校を通して見えるもの-」のテーマでシンポジウムを開きます。こちらの問い合わせ先は、同連合会子どもの権利委員会事務局(電話番号06-6364-1227)です。
このテーマに関心のある方は、ぜひご参加ください。