「個人情報の流出-提供控え、利用目的の確認も」神戸新聞 2006年3月7日掲載
執筆者:定岡 治郎護士
Q:住所や氏名を電話帳などに載せていないのに、知らない複数の業者から、頻繁にダイレクトメールが届き、セールスの電話もかかってきます。以前、景品が当たるというアンケートに住所、氏名、電話番号等を書いたことがありますが、それが流出したのかも・・・。違法ではないのでしょうか。
A:昨年四月、個人情報保護法(以下、「本法」といいます。)が施行されました。
本法の対象は、五千件を超える個人情報取扱事業者でありますが、相談の業者が本法の対象となるという前提で、以下お話をします。
本法は、本人の事前の同意なく個人情報を第三者へ提供することを原則として禁止していますから、相談の業者がアンケートと称してあなたの住所・氏名等を取得し、無断で第三者へ提供することは、原則として違法です(例外的な場合でも、第三者への提供を利用目的とすることや情報提供の停止に関する記載等をあらかじめ本人に通知し、又は本人が容易に知り得る状態に置かなければなりません)。
しかし、現代の生活において、個人情報を提供する機会が数多くあることを考えると、相談の業者が直ちに情報流出源であると特定することは困難な場合もありますので、よく調べてみる必要があります。
また、あなたが個人情報を業者に提供する際に、個人情報の第三者提供についての同意文言(「私の個人情報を貴社が○○株式会社に提供することに同意します」など)を見落としているようなことがないかどうかも確かめて下さい。
なお、本法は、個人情報の取得について、不正手段による取得を禁止しているだけで、必ずしも本人の同意を必要としていませんから、実際にダイレクトメールを送ってくる業者の行為が、直ちに違法であるとはいえません。ただ、情報の取得にあたっては、本法によりその利用目的の通知が原則として義務づけられていますので、この点も確認してください。
以上からわかるように、一度流出した個人情報を後からコントロールしようとすることは困難ですから、むやみに個人情報を提供しないこと、個人情報を提供する場合でも、きちんと利用目的を確認することなどが重要です。
そして、問題が起きたときは一人で悩まないで、消費生活センターや弁護士会の法律相談などで専門家のアドバイスを受けるようにするとよいでしょう。