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2005年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「[支払督促]届いたら-架空請求に十分注意を」神戸新聞 2005年10月18日掲載

執筆者:石井 龍一弁護士

Q:差出人が裁判所となっている「支払督促」という書類が郵送されてきました。その書面には、「債務者」として私の名前が書いてあり、「債務者は請求の趣旨記載の金額を債権者に支払え。」などと書いてありますが、私はそのような請求をされる覚えはありません。どうすればよいでしょうか。

A:「支払督促」とは、債権者が裁判所に申し立て、債務者にお金を支払え、という趣旨の文書を裁判所から送付してもらう制度で、債務者とされた人はその文書の送達を受けてから2週間以内に、法定の手続に従って異議を述べない限り、原則としてその支払督促に書かれた内容の通り支払いを強制される(財産に強制執行がなされてしまう。但し、その執行に対して異議を述べる機会はある)という制度です。

この制度は、債権者の権利を簡易に実現するために定められていますので、債権者から申し立てがあれば裁判所は本当に申し立てどおりの債権があるかどうかを判断せず、支払督促を発します。このことから、この制度を悪用し架空の債権をでっちあげて裁判所に支払督促を発送させるという架空請求が起こり得ます。

ご相談では、あなたの身に覚えのない請求ということですから、あなたはこの書類の送達を受けた日から2週間以内に裁判所に「督促異議の申し立て」をしなければなりません。

最近では、裁判所からの書類の体裁を装って偽物の支払督促を送りつけるという悪質な事例もあります。本物の支払督促は「特別送達」と記載された裁判所の名前入りの封書で、原則として郵便職員から手渡しで届けられますから、そうでないものは偽物と考えてよいでしょう。偽物の支払督促には支払先として金銭を振り込む口座が書かれていたりしますが、本物にはそのような振込先が書かれていることはありませんから、絶対にその口座にお金を振り込まないよう注意して下さい。