「離婚裁判-訴訟も家裁での審理に変更」神戸新聞 2004年4月6日掲載
執筆者:加藤 恵一弁護士
Q:現在私は、離婚や子どもの親権について妻と話し合いをしていますが、まとまりません。4月から離婚の裁判手続きなどが変わったと聞きました。どのように変わったのか、簡単に教えてもらえませんか。
A:これまで、離婚・親権問題についてはまず、家庭裁判所に離婚の調停を申し立て(調停前置(ぜんち)主義)、調停での話し合いがうまくいかないときは、地方裁判所に裁判を起こさなければなりませんでした。
しかし、2004年4月1日から、旧来の人事訴訟手続法が改正されて人事訴訟法となり、離婚事件などは、調停だけでなく訴訟もすべて、家庭裁判所で審理されることになりました。
これにより、家事調停を担当した家庭裁判所で審理を一本化して処理することが可能となり、迅速かつ充実した審理が期待できることとなりました。
また、家庭裁判所で審理が一本化されるメリットとして、離婚に伴う財産分与に関する裁判や親権者の指定についての裁判について、これまでの家事審判手続と同様の家庭裁判所調査官による事実の調査が可能となった点が挙げられます。
これまで、地裁には家庭裁判所調査官がいないため、十分な審理ができず、さらに家裁で調査が重ねられることもあり、訴訟が長期化することもありました。一本化によって、今後は改善が期待できます。
さらに、今回の改正では、裁判に市民感覚を取り入れるために、一般市民から選出された「参与員」を人事訴訟の審理、または和解に立ち会わせて、意見を聞くことができる旨の規定も新設されました。
このほかにも、さまざまな改正がなされています。今回の改正によって、離婚事件などの、より迅速かつ充実した審理が期待されます。