「無免許運転-繰り返すと公判請求も」神戸新聞 2003年11月18日掲載
執筆者:河瀬 真弁護士
Q:車の免許が取り消しになり、その後回復していません。ところが公共交通機関の不便な地域に住んでいるため無免許で乗り続け、実は2回罰金を受け、「次はタダでは済まない」と言われました。無免許のまま運転を続けていると、何か罰を受けるのでしょうか。
A:当然のことですが、自動車を運転しようとする者は、公安委員会の運転免許を受けなければなりません。無免許運転をすることは犯罪であり、道路交通法によれば、1年以下の懲役または30万円以下の罰金に処すると定められています。
今まで二度罰金を受けたとのことですが、罰金を科す手続きは、おそらく「略式手続」によって行われたものと思われます。略式手続とは、簡易裁判所が、検察官の請求により公判手続すなわち刑事訴訟法に定められた正式な裁判によらずに、一定額以下の罰金または科料の刑を科す手続きです。現行法上50万円以下の罰金または科料を科する場合に、略式手続によることができるとされています。
しかし、二度も罰金を受けてなお無免許運転を行えば、次は検察官から公判請求される可能性が高いでしょう。その場合は公判期日に裁判所への出頭を命じられ、公開の法廷で刑事訴訟法に基づく厳格な手続きにより審理されます。審理が終わると判決の言い渡しを受け、有罪の場合、法定刑の範囲内での刑罰が科されることになります。
裁判所は、事実に間違いがなければ、情状面を考慮して量刑判断を下すことになります。この場合、懲役刑が選択されることが多いと思われますが、情状によっては執行猶予判決になることもあります。
ただし、ご質問のケースでは、免許取消処分を受けた後、二回も罰金を受けているにもかかわらず、常習的に無免許運転を行っているようです。このような事情は、情状面において悪い方向に働きます。
他方、交通の便が悪く、どうしても車が必要、というような事情は、ほとんど斟酌(しんしゃく)してもらえないと思っておいた方がよいでしょう。初めての正式裁判だからといって、必ず執行猶予になるとは限りません。
いずれにしても、きちんと免許を取得するまでは、絶対に車を運転しないようにしてください。