アーカイブス

このページは旧サイトに掲載されていた記事のアーカイブです。

くらしの法律相談

HOME > くらしの法律相談(1997年-2007年) > 2003年 神戸新聞掲載『くらしの法律』相談 > 「マンションの規約改正-変更した理由を確認して」神戸新聞 2003年7月15日掲載

2003年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

≪2003年掲載一覧へ戻る

「マンションの規約改正-変更した理由を確認して」神戸新聞 2003年7月15日掲載

執筆者:伊原 由美弁護士

私のマンションはペットを自由に飼ってよいことになっていましたが、最近規約改正があり、2匹までの登録制になりました。うちは子どもを産んで2匹から4匹になったのですが、みなかわいいいのでこのまま飼い続けたいのです。改正された管理規約に縛られるのでしょうか。

弁護士:分譲マンションですか。

相談者:はい。

弁護士:分譲マンションには区分所有法が適用され、管理規約の変更には厳格な要件を定めています。この要件を満たさない場合は規約の変更は無効となるので、従う必要はありません。

相談者:どのような要件が必要なのですか。

弁護士:まず集会の招集手続きですが、管理規約を変更するためには、集会日より1週間以上前(期間は規約により変更可能)に、区分所有者に対して、集会日時・場所・議題、議案要領を通知する必要があります。ただし区分所有者全員の同意があれば、このような招集手続きは不要です。

相談者:ほかには何が要件とされるのですか。

弁護士:区分所有者および議決権総数の4分の3以上の多数による集会決議が必要です。また一部の区分所有者が「特別に影響」を受ける場合はその承諾が必要です。

相談者:とすると、既にペットを4匹飼っている私は、2匹までにするという規約の変更で、特別の影響を受ける者にあたるのではないですか。

弁護士:一般的に「特別の影響を受ける」というのは、合理的な理由もないのに特定の者が受忍すべき限度を超える不利益を被ることを言います。ペット数の制限が不合理な理由によるものであれば、管理規約の変更が無効であることを主張できるので、変更した理由を一度確認してみたほうがいいと思います。
ただ、ペットを一律禁止する規約への変更が争われた事件について、飼っていた者の承諾は不要であるとした判例があるので、一律禁止よりも緩やかな規制である数の制限や登録制とする規約への変更は承諾が不要、となりやすいでしょうね。

相談者:でもペットは家族も同然で・・・。何とかできないでしょうか。

弁護士:確かに、既に飼われているペットと離れるのはつらいことでしょう。あなた以外に、管理規約の変更で悩まれている方も多いと思います。そこで皆さんで、現在飼っているペット一代に限り許可をする内容の承諾を管理組合に求めてみることをお勧めします。