「育児休暇-減給など不利益な扱い禁止」神戸新聞 2003年1月21日掲載
執筆者:長谷部 信一弁護士
正社員として会社に勤務しています。育児のためにしばらく休暇を取りたいのですが、会社から「それならやめてくれ」と言われるのではないかと不安です。育児休暇を取るには何か制限や条件があるのですか。
弁護士:育児休暇を取れるのは、1歳に満たない子どもを養育する男女の労働者です。しかし、あなたが雇用されて1年未満の場合は休暇を取れない場合があります。
相談者:その点は大丈夫です。育休を取るにはどういう手続きが必要ですか。
休暇の1カ月前までに休暇期間の開始予定日、終了予定日などを書いた書面を事業主に提出する必要があります。
相談者:1カ月前までに届けなければ、休暇は取れないのですか。
弁護士:そんなことはありません。会社が合意してくれれば翌日からでも取れます。しかし法律上、会社は休暇申し出後1カ月の範囲内で休暇開始日を指定できると規定されていますので、会社が休暇開始日を指定した場合にはそれに従う必要があります。
相談者:休暇期間について制限はありますか。
弁護士:子どもが1歳になるまでの好きな期間を指定できますが、1人の子どもについて1回に限られ、休暇は連続したものという制限があります。例えば4月から5月まで休暇を取った後に、7月から9月までまた取るというようなことはできません。
相談者:休暇中の給料はどうなりますか。
弁護士:会社とあなたとの労働契約の内容によります。特別の合意がなければ無給になります。しかし、会社の近くにある公共職業安定所で手続きをすれば休業開始前賃金の25%が育児休業給付として支給されます。
相談者:休暇を申し出たことや取得したことで、「やめてくれ」などと会社から不利益を受けることはありませんか。
弁護士:ありません。育児・介護休業法で、休暇を取りたいと申し出たことや休暇を取ったことを理由に、解雇やその他の不利益な取り扱いをしてはいけないと規定されています。
ここにいう「その他不利益な取り扱い」とは、例えば退職を勧めたり、正社員からパートタイム労働者に変更させること、降格、減給をしたり、不利益な配置換えをしたりすることをいいます。今からいろいろと大変だと思いますが子どものためにも頑張ってください。