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2003年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「破産宣告者の注意点-ヤミ金融業者の誘い断って」神戸新聞 2003年1月7日掲載

執筆者:谷林 一憲弁護士

最近破産宣告を受け、その後、免責決定を受けました。現在アルバイトでもらっている給料は法律上、どういう扱いになりますか。また頻繁に「借金しないか」と勧誘があるのですが。

弁護士:破産宣告後の原因に基づいて破産者が得た財産は自由財産と呼ばれ、破産者が自由に管理することができます。ですから、アルバイトで得た給料は全部あなたが管理できます。

相談者:免責決定を受けてから、いろいろな会社から「お金を借りないか」という勧誘を受けるのですが。

弁護士:破産者が免責を受けてからも残る不利益として、信用取引の制限、10年間は免責が受けられない、などがあります。あなたの場合、信用取引の制限が問題になります。つまり、破産をした事実は、いわゆるブラックリストに登録されるので、7年くらいはクレジット・サラ金などが利用できなくなります。

相談者:でも、実際には勧誘がありますが。

弁護士:最近、多重債務者や破産宣告を受けたことがある人に対して、「数万円の貸し付けをします」というダイレクトメールを送ってくる業者が増えています。こういう業者は、サラ金からの借り入れができなくなった人を対象に、数万円を法外な利息で貸し付けます。支払いを渋ると、自宅はもちろん、勤務時間中に何度も職場に電話をかけ、身内にまで電話での嫌がらせを繰り返し、延々と利息を取り続けるケースが多いです。ちなみにトイチという言葉がありますが、10日で1割どころか、2、3割の利息を取る業者もいます。

相談者:なぜ私が破産宣告・免責を受けたことを知っているのですか。

弁護士:そういった悪徳業者はブラックリストの情報を入手して、通常ならばお金を借りられない人を対象に連絡をとってくるのです。たいてい携帯電話を連絡先にしているので、ヤミ金融とか、090金融とか呼ばれています。

相談者:そういう業者から金を借りている知人がいますが。

弁護士:法外な金利を取った貸し付けは民事上は出資法違反の貸し付けですから、不法原因給付となり、債務者は全く返済義務を負いません。しかし分かっていても、しつこい自宅や職場への電話による督促に屈して、支払ってしまう人が多いのです。最近は、ヤミ金融業者を相手取って、過払い金の返還請求や慰謝料請求をする弁護士も増えています。そこまでは望まないにしても、とにかく迷惑な取り立てを止めて欲しいという方も、弁護士に相談すべきでしょう。