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2001年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「道路の穴ぼこ事故-状況により管理者の責任に」神戸新聞 2001年10月17日掲載

執筆者:小野 法隆弁護士

自転車で市道を走行中、道路の穴ぼこに車輪を取られ、転倒して負傷しました。このような場合、だれかに責任を追及できないのでしょうか。

弁護士:国家賠償法2条1項(国賠法2条)により、道路管理者である市に責任を追及することができる可能性があります。ただ、道路に穴があれば必ず責任を追求できるわけではありません。事故当時の状況は、どのようなものでしたか?

相談者:事故を起こした現場は、照明施設もなく真っ暗で、見通しも大変悪い道路です。また穴は、ちょうど自転車や歩行者が通る部分にあり、大きさも七、八十センチぐらいありました。

弁護士:国賠法2条の責任を追及するには、道路に設置・管理の瑕疵(かし)があることが必要です。瑕疵というのは、通常有すべき安全性の欠如のことですが、それは道路の位置、場所、利用状況、時間帯、天候、被害者の事故時の行動などを総合的に考慮して、社会通念により判断されます。もう少し現場の状況を調べてみないと分かりませんが、あなたの話を聞く限り、市の責任は認められそうですね。
ところで、自分で不注意だったなと思う点はありませんか。

相談者:実は、無灯火で運転していたんです。その上、お酒も飲んでいましたし・・・。

弁護士:それはいけませんね。自動車の場合と同様に、自転車の飲酒運転も法律違反になりますし、何より危ないですからね。気をつけてください。話を元に戻しますが、あなたの不注意の程度が大きい場合には、先ほど述べた「被害者の事故時の行動」として考慮され、国賠法2条の責任を追及できない可能性もあります。また、仮に責任追及できるとしても、過失相殺されてしまい、損害を全額賠償させることは難しいと思います。過失相殺は、簡単に言えば、損失の公平な分担という観点から、被害者の側にも不注意があった場合には、その不注意の分を損害額から減額する、というものです。あなたの場合、無灯火、飲酒運転という二点で不注意があったので、やはり被った損害を全額賠償させるのは難しいでしょう。