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2000年 神戸新聞掲載『くらしの法律相談』

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「楽器騒音の悩み-最終的には裁判も可能」神戸新聞 2000年10月11日掲載

執筆者:奥見 はじめ弁護士

分譲マンションに住んでいます。階下からのピアノの騒音に悩まされ続け、安眠できない日々を送っていますが、よい解決法はないでしょうか。

相談者:先生、下の人が早朝からピアノの練習をするのです。そのせいで私は体調を崩し、病院にも行きました。何かよい方法はないでしょうか。

弁護士:今までにこのことで、下の人と話会いましたか。

相談者:いいえ。早朝の練習はやめてほしいと一度言ったことがあるだけです。

弁護士:それではまず、下の人と練習時間、窓を閉めること、音量を調節すること、防音設備を設置することなどについて話合ってみてはどうでしょうか。

相談者:はい、一度話合ってみますが、もし応じてくれなかった場合はどうしたらよいでしょうか。

弁護士:都道府県・市町村の公害課へ行って相談してみるとよいでしょう。また、軽犯罪法一条一四号では「公務員の制止をきかずに、人声、楽器、ラジオなどの音を異常に大きく出して静穏を害し近隣に迷惑をかけた者」は拘留または科料に処すると規定しています。この規定を根拠に、警察官から注意をしてもらうのも一つの方法です。

相談者:それでも効果がなかった場合は、どうしたらよいでしょうか。

弁護士:裁判所に調停あるいは訴訟を申し立てることになります。相隣的共同生活上がまんすべき限度のことを「受認限度」といいます。この受認限度を超えた音によってあなたの平穏な生活が侵害されている場合、損害賠償を請求したり、騒音を防ぐ措置を要求したりすることができます。

相談者:受認限度を超えているかどうかは何を基準に判断するのですか。

弁護士:通常人の一般的感覚をもとにして(1)騒音の程度、(2)地域環境、(3)騒音の発生期間、(4)加害者側の事情(騒音を出す必要性、防音設備の有無など、(5)被害者側の事情(被害の種類・程度、病人や幼児がいるかなどの特殊事情など)などを総合して判断します。

相談者:いろいろな解決方法があることがわかり安心しました。まず、話し合ってみます。